企画

□紫原とイチャイチャ
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バスケ部が練習する体育館を覗けば1番に気付いてくれるのが彼。その後に氷室先輩と主将。見学の常連となっている私はすぐに彼等に手招きされてその中へ入る。ステージへ腰掛けていれば荒木先生が近くまで来てくれて選手1人1人の説明をしてくれるから陽泉高校のバスケ部については随分詳しくなったと思う。皆が言うには遠回しのマネージャー勧誘らしいのだけれど。


「***ちん」


練習が終わればすぐに寄って来てくれる敦に「おつかれさま」と声をかける。ステージに座っていても彼のことを見上げてしまう。だけどここで立ち上がったら見下ろしてしまうから、そんなことは絶対にしない。


「お腹空いたー」

「あ、見て見て、新しいの見つけた」


バッグの中から新味のまいう棒を取り出し手渡すと敦は目を輝かせてとびつく。すぐに開けられたそれは彼にかぶりつかれて丸々袋から解放された。


「ん」


ポッキーゲームのように目の前に突き出されたそれに一瞬驚いたが、敦はかじることなく私を待っているようだ。パク、とそれを口へ含めば彼の目が柔らかく三日月へと変わる。つられるように私の頬も緩んでしまって数秒見つめ合ったままだった。


「敦、***、ここ体育館だからな」


呆れたような氷室先輩の声で敦がサクッとそれを噛む。残ったまいう棒は私の口から未だに出たままだ。


「もう見慣れたっしょー」


そう言った彼はまたも私へと向き直り今度は頭を手で固定されてかぶりつかれた。どんどん食べられて少しだけ入っていた私の口の中のものまで取られてしまう。ペロリと唇を舐められたかと思うと彼は妖艶に笑み私の頭を撫でた。


「まったく」


溜息を吐く氷室先輩は頭を抱えながらも微笑んでいるように見えるのは気のせいではないだろう。遠くには主将と福井先輩も苦笑いしているのが見える。いつもこんなかんじだから私にはどうしてそんな顔されるのかわからないけど呆れられるということは見苦しいのだろうか。


「***ちん、続きは帰ってからね」


そう言いながら彼はまた私の頭を撫でる。何をされるかわかってしまうから顔も熱くなるし鼓動も早くなってしまう。恥ずかしくなって俯けば無理やり顔を上げさせられて額にキスを落とされた。


「紫原!ここでイチャつくなら***をマネージャーにしてから!」


荒木先生から怒気の含まれた声が上がると「そういう問題じゃないだろ」と周りがまた溜息を吐く。だけど私の前に立つ彼は本当に嫌そうな顔をするんだ。その理由も私は既に聞かされているから何とも思わないのだけれど。


「雅子ちんさー、***に労働させるつもりー?そんなん俺が許すはずないじゃん」


***ちんは見てればいいのー、と髪をかき上げた彼は私を抱き上げて床へと降ろす。身長差、約50cm。立っている状態で見上げると、敦はしゃがんで私より目線を下にしてくれる。「ずっと上向いてるのしんどいっしょー」なんて些細な優しさが嬉しくて堪らないんだ。


「ちょっと室ちんあんまり***ちん見ないでよ」

「減るもんじゃないだろ」

「なんか減る」


腰へ回された腕が私を捕まえる。ぎゅっと力が込められたそれは暖かくて、無意識に頬が緩んでしまった。


「すげー見られてるから帰ろー***ちん」

「うん」


ちゅ、と私の頬へ口付けてから彼は立ち上がり、乱暴に手を取って歩き出す。歩幅が合わないから私は少しだけ小走りになるのだけれど、それでも繋がれた手は力強く握られている。



(いい加減マネージャーとして入部した方がいいかな?)

(俺以外の男の面倒見るとか絶対ダメ)





END
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1万打記念リクエスト/やいこ様




(プリーズ ブラウザバック)



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