企画

□マイペースヒロインがキセキと絡む
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相変わらず私と大輝は学校以外で会うことは少ない。
たまに彼の幼馴染、桃井さつきちゃんが私のクラスまで来て次の練習試合はいつどこで、今度の公式試合はいつどこで、と予定を教えてくれるけど未だに見に行ったことはない。だって起きた時間にはだいたい終わってるんだもの。


『お前いま起きたのかよ』

「うん、いま起きた」


観損ねた映画がやっとDVDになったからと昨日は遅くまでテレビ画面と向き合っていた。普通に観ていれば二時間半で終わるそれもうつらうつらしながらだったから何度巻戻したかわからない。結局朝方にベッドへ入って大輝の電話で目を覚ましたのが今、お昼過ぎ。


「あれ?今日補習あったっけ」


学校は休みのはず。補習も補講もないはず。
それを確認してから寝たはずだけど彼からの電話が珍しすぎて自分を疑ってしまう。


『いや、ねーよ。それよりお前今日空いてっか』

「今日?今から?」

『おー』

「予定はないけど、……え、おでかけ?」


そう問えば彼は実に不機嫌そうに聞き返してくる。
正直なところ面倒臭い。
カーテンの隙間から入ってくる昇りきった太陽の光がたった少し当たるだけで身体が重く感じる。こういう日は引篭もって読書かネットサーフィンと決めているからいつもの私なら夜まで外に出ない。その外に出る行為もちょっとコンビニへチョコレートを買いに行くためだけど。


「どこ行くの?」

『バスケ』

「いってらっしゃい」

『お前も来い』


語気が少し強くなった彼はどんなに断っても折れない。
どうしたんだろう、さつきちゃんがこういうときに彼を連れ出してくれたら便利なのに。


「だって私いま起きたのに」

『外出る準備なんて30分もありゃ出来んだろ』

「バスケって部活?」

『ストリート』


ストバス?と問えば短い返事が返ってきただけですぐに電話は切れてしまって、準備するのが面倒臭すぎてもう一度布団へ潜れば手にある携帯はまたすぐに着信を知らせてくる。
画面には青峰大輝。
ああ、ほんとに彼は私のことをよくわかってる。





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