弱虫pdl

□自慢であり誇りである。(8)
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「早いな、明良」

「あ、金城おはよ」


巻島ならもう外だよ、と続ける明良は、昨晩書くことが出来なかったノートを前にしていた。


「よく眠れたか」

「うん、もうバッチリ。ただ田所のイビキがまだ頭の中でリピートしてる」


苦笑しながら言う明良の機嫌は戻ったようで、金城は胸を撫で下ろす。よし、とノートを閉じた明良は一度伸びをしてそれをバッグの中へしまった。


「……この荷物持ってきたのか」

「うん、一人部屋ヤダ、寂しい」

「お前な、」

「いいじゃん私なんだし」


お前だからだと言えない金城は頭を抱え、平然と着替え始める明良を前に目を丸くする。薄いハーフパンツを脱ごうとする腕を掴めばきょとんとする表情に、金城は理性が保てるのか不安になった。



:::



既に氷を張ったアイスケースにあるペットボトルと、人数分のボトルを目にした巻島は外に出てから驚愕の表情を見せていた。


「クハッ、さすがっショ」


田所と寝ている明良が気になって早起きしたものの、隣の布団を捲ってみれば既に姿のないことから外へ出てみればこれだ。一体何時に起きたんだといつもの眠気眼の彼女を思い出しては苦笑が洩れる。自転車のメンテナンスをしていれば金城も起きてきたようで、少しばかり赤い顔が気になったがそれに触れることなく巻島は言葉を交わす。明良と何かあったかと思いはしたが、あの警戒心のない女が相手ならいつものことだとチェーンへオイルをさした。


「田所のイビキうるさかった!」

「仕方ねーだろ!」

「もう一緒に寝ない!」

「慣れろ!」

「ムリ!」


暫くすればケラケラと笑い合いながらやってきた明良と田所の会話が聞こえ、金城と巻島はそちらへ目を向ける。昨日は不機嫌なせいで見られなかった彼女の笑顔がそこにあるだけで、この辛い合宿も難なく乗り越えられると2人は微笑を浮かべた。







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