いつものように同隊の連中と酒を飲んで遅い時間の夜道を歩く。 飲んで忘れようとしたが一向に気分が良くなることはなくて気付けば自分以外はいつのまにか潰れていた。 もっと付き合えよと揺らせど叩けど微動だにしない奴等を思い出しただけでさらにイラつく。 あーくそ。 軽く舌打ちをし近道の雑木林を幾分か歩いたところで俺の不機嫌の原因とも言える霊圧を感じた。 明良だ。 「…んな時間に何やってんだ」 無性に腹が立って近付けばもう一つ感じる。 それと同時に小さく声が聞こえた。 「っ、やっ、ちょっ…離し、てっ」 胸が騒ぐ。 足を速めて辿り着いた先に見えた光景は俺の沸点を裕に超えるものだった。 「斑目三席とまだヤってないんですよね、たまってるんでしょ?だったら俺が、んぐっ」 明良を組み敷いて興奮する男の襟首を掴んで引き剥がす。 震えながらゆっくりと振り返った目を睨みつければ声にならないのか口を動かすだけで。 「…誰の女に手ェ出してんだ?」 「ヒッ、」 大声で謝りながら走って行く姿を目で追いギロリと寝そべる明良へ目を向ける。 未だ震える身体と潤んだ目を視界に捉えれば超えたと思っていた怒りの頂点がさらに高く跳ね上がった。 「てめーもそんな興奮させるようなツラしてんじゃねーよ」 「…え、」 「そんなんだから襲われんだよ、自業自得だ」 「いっ…かく、」 「止めねー方がよかったか?あぁ?!」 しゃがみ込み、見下すように明良を見ながら声を荒げた。 ビクリと跳ね上がる肩。 見開かれた目は誰を見ているのかはわからない。 目の前には俺しかいねーじゃねーか。 イライラする。 「…とりあえず帰んぞ」 「っ、やっ…」 伸ばした手を叩かれるように払われる。 俺を見る目がさっきの男へのものと同じに見えるのは気のせいか? 地面に手をついて少しだけ上体を起こした明良がずるずると俺から離れる。 なんて顔してやがんだ。 「おい明良、」 「やっ、…いやっ、」 木に背中がぶつかり動きを止めた明良に近付けば怯えるように身体を丸める。 俺の声に反応しているところをみるとやはり目に映っているのは俺のようだ。 自身を守るように胸の前に置いてある腕を無理矢理引いて引き寄せ顔を近付けた。 「明良、」 ギュッと閉じられた目から出た長い睫が月明かりに照らされてキラキラ光る。 それと同時に雫が頬を沿って流れるのが見えた。 気付けば掴んでいる腕も小刻みに震えていて肩にも力が入っているのか引き上がっている。 「おい、」 ビクリと反応する明良の身体。 怯える原因は完全に俺だと理解すると勝手に口かどが吊り上がる。 はっ、なんだよそれ。 助けた俺を怖がるってどういうことだよ。 未だ震える身体を姫抱きして立ち上がる。 「やっ、やだっ…」 「おとなしくしてろ、…なんもしねーよ」 |