本・獄都事変
□話は一区切りついた?
2ページ/3ページ
名無しのside
いろいろな説明が終わり、部屋を出ようとしたとき。
肋角「あぁ、佐疫は少しいいか?」
ニンゲンさんだけ呼び止められた。
何だろう。
不思議に思いながらも、部屋から出た。
あの案内してくれたニンゲンさんは、佐疫さんというらしい。
そして、上司の肋角さん。
この二人は覚えた。
ここにはまたまだ獄卒なるヒトが、たくさんいるのだろう。
少なくとも、一人以上はいる。
あのとき家に来ていた、佐疫さんの片割れのヒトは、一体誰なのだろう。
ここにいるのだろうか。
と、ここでの生活について考える。
怖いヒトじゃなきゃいいな、とか、どんなヒトがいるのかな、とか。
けれど、それはただ現実が見たくないからで。
本心は、家に帰ったらどうなっているのか、ということでいっぱいだった。
___名無しのが、本心と建前の狭間で悶々としていて数分。
話が終わったらしい佐疫さんが出てきた。
佐疫「お待たせ。じゃあ、始めにどっちへ行こうか」
この館の案内か、自分の家に行くか、か。
……………どっちがいいんだろう。
名無しの『どちらでもいいです』
結局一番嫌な回答をしてしまった。
佐疫「んー……。じゃあ、始めに名無しのの家に行こうか」
名無しの『はい。ありがとうございます』
なんだか、余計な気を使わせてしまった気がする…。
いろいろなことにモヤモヤしたまま、出発した。
あと数時間でお昼になろう、という時間帯だった。