本・獄都事変

□ドコナノ
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佐疫side



さっきの子は何だったんだろう。

頭の隅で、そんなことを考えながら、今回の捕獲対象を探す。

先ほど襲ってきたやつが亡者だったのだろうが、そいつはもうどこかへ行ってしまった。
ついでに、そいつを追っかけていった、あの子も。

結局、あの子は、紛れ込んでしまった生者なのだろうか。
それとも、今回の捕獲対象は、あの子の方なのだろうか。


しかし、考えても答えは出ない上、先ほどの二人(?一人と亡者?)は、全く見当たらない。


「………い。おい、佐疫?」

彼の言葉にはっとする。

佐疫「あ、あぁ、ごめん、斬島。なに?」
斬島「いや、こちらは大方見たので、佐疫の方はどうかと思ってな。………考え事か?」
佐疫「ちょっとね。
………結局、どっちを捕まえたらいいのかな、って思って」
斬島「そうか」
佐疫「…………他のところにいこうか」
斬島「…そうだな」





結局、別の場所に行っても、全く手がかりがつかめなかった。

これは任務失敗か…?
と、半ば諦めかけていたとき。


斬島「なにか聞こえないか」

突然、彼が立ち止まり、言った。

自分も耳を澄ませてみると、確かに何かが聞こえる。
まるで、刃と刃が交わるような………斬島が誰かと手合わせをしているときのような音が。

今いる廊下の遥か前方から。

一体、この家の廊下はどれだけ長いのだ…という疑問を押さえつつ、目を凝らしてよく見てみる。


そこには、あの亡者と、あの子らしき影が見えた。
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