本・獄都事変
□ドコナノ
2ページ/4ページ
佐疫side
さっきの子は何だったんだろう。
頭の隅で、そんなことを考えながら、今回の捕獲対象を探す。
先ほど襲ってきたやつが亡者だったのだろうが、そいつはもうどこかへ行ってしまった。
ついでに、そいつを追っかけていった、あの子も。
結局、あの子は、紛れ込んでしまった生者なのだろうか。
それとも、今回の捕獲対象は、あの子の方なのだろうか。
しかし、考えても答えは出ない上、先ほどの二人(?一人と亡者?)は、全く見当たらない。
「………い。おい、佐疫?」
彼の言葉にはっとする。
佐疫「あ、あぁ、ごめん、斬島。なに?」
斬島「いや、こちらは大方見たので、佐疫の方はどうかと思ってな。………考え事か?」
佐疫「ちょっとね。
………結局、どっちを捕まえたらいいのかな、って思って」
斬島「そうか」
佐疫「…………他のところにいこうか」
斬島「…そうだな」
※
結局、別の場所に行っても、全く手がかりがつかめなかった。
これは任務失敗か…?
と、半ば諦めかけていたとき。
斬島「なにか聞こえないか」
突然、彼が立ち止まり、言った。
自分も耳を澄ませてみると、確かに何かが聞こえる。
まるで、刃と刃が交わるような………斬島が誰かと手合わせをしているときのような音が。
今いる廊下の遥か前方から。
一体、この家の廊下はどれだけ長いのだ…という疑問を押さえつつ、目を凝らしてよく見てみる。
そこには、あの亡者と、あの子らしき影が見えた。