本・獄都事変

□仕事の説明
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ごんべいside


わけがわからないままニンゲンさんについていくと、とある部屋の前で止まる。
恐らくここが、このニンゲンさんの上司の部屋なのだろう。
このヒトでここまで怖いのだから、上司なるヒトはもっと怖い。そんな方程式が出来上がっていた。
(どうしよう……)

緊張がピークに達した頃、頭のなかに、聞き慣れた声が響いた。
それは、もう聞けないと思っていた声で。
自分を安心させるには、十分だった。

(私が、助けてあげる)

それは紛れもなく、あのとき食べられたはずの鈴の声だった。




そして、促されるまま部屋にはいり、説明を受ける。

「悪いが、帰らせることはできない」

そう言われて、なにかが終わったような感覚に包まれる。

「これは詳しい話をしなければいけないようだな」

そう上司のヒトは言って、もう一人のニンゲンさんを追い出した。
あぁ、せっかくの小さな心の拠り所が……。



二人きりになったこの部屋で。

「さて……。やはり、単刀直入に言うべきか」

上司のヒトは話し始めた。
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