本・獄都事変
□現実の一時停止
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腹に走る焼けるような痛み。
しかし、それも一瞬で、次の瞬間には痺れるような感じに移行する。
その、痛みが移行する一瞬に、『零』をアイツの頭らしき場所に投げ刺す。
肉に刃物が刺さる、小気味良い音がした後、アイツは今度こそ、全く動かなくなった。
その音と同時に、また壁にぶつかる音がする。
自分が壁に打ち付けられた音だ。
壁にもたれ掛かったまま、右手にペンダントがあることを確認し、少し微笑んだあと、ごんべいはようやく部屋の入り口に立つ人影に気がついた。
しかし、その人影は霞んできた視界には、ただの人影でしかなく。
それが誰であるのか認識することなく、ごんべいは意識を失った。
深い、深い、ふかい、眠りへと。