本・獄都事変

□愛がために
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斬島side


今回の任務先にいた、生者か亡者かわからない者。
そいつが、(明らかに亡者とわかる)亡者と戦っていたらしい。

しかし、そいつは見事に投げ飛ばされたらしく、俺達の横を通りすぎていった。
背後で、壁にヒビが入る音もする。

聞くだけで、痛々しい音だった。


そいつに駆け寄る佐疫に続いて、自分も覗きこむ。

そいつはチラとこちらを見たかと思うと、なにかを呟き、持っていた刀を振るった。

とっさに避ける。
しかし、それに反応することはできたが、佐疫は避けることができなかったらしい。
彼の小さな呻き声が聞こえる。

見ると、足が斬り落とされていた。


すぐさま駆け寄って、傷の状態を見る。

斬島「大丈夫か!?」

佐疫「だ、大丈夫。斬り落とされた、だけだから。くっつればすぐに再生するよ」

彼は、そう言って笑う。
正直、いたたまれない。

佐疫「それより斬島、早くあの子達を追って」
斬島「………え?」
佐疫「俺のことはいいから、大丈夫だから。早く追って。任務、失敗しちゃう」

渋る斬島を、佐疫は優しく諭す。



斬島「…………わかった。………なおるまで待っていろ」

そう言って、アイツらを追いかけて、走っていった。

彼を動かすのは、仲間を傷つけられたという、怒りから。
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