本・獄都事変
□ドコナノ
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早く、あれを取り戻さなきゃ………。
頭のなかで、それがぐるぐるまわっている。
ニンゲンに話しかけられた気もするが、他のことを考える余裕はなかった。
『…………早く、アイツを追わないと…………』
そう呟いて、アイツが消えた方向へ走った。
※
アイツは、まだ妖力を欲しているようで、まだ家のなかをでたらめに走り回っている。
アイツが通ったあとは、ひどいことになっていた。
しかし、それのおかげで、もう見失うこともない。
少しずつ、距離を縮めてゆく。
そして、手にかけた『流』が、小気味よい音をたてた。