本・獄都事変

□ドコナノ
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早く、あれを取り戻さなきゃ………。

頭のなかで、それがぐるぐるまわっている。
ニンゲンに話しかけられた気もするが、他のことを考える余裕はなかった。

『…………早く、アイツを追わないと…………』

そう呟いて、アイツが消えた方向へ走った。



アイツは、まだ妖力を欲しているようで、まだ家のなかをでたらめに走り回っている。
アイツが通ったあとは、ひどいことになっていた。
しかし、それのおかげで、もう見失うこともない。

少しずつ、距離を縮めてゆく。


そして、手にかけた『流』が、小気味よい音をたてた。
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