本・獄都事変
□発見
1ページ/3ページ
走ってその場へ行く。
そこでみたのは、蠢く黒い塊と、
今にも喰われようとしている、無惨な鈴の姿だった。
『り、りんちゃん?』
声が震える。ついでに身体も。
その言葉で鈴はこちらに気づいたのか、こちらの方を向く。
すると、普段は見せない、いや、出会ってから一度も見たことが無いような笑顔がみえた。
「……………」
鈴はなにも言わない。それだけで、すべて理解した。
『あ、ぅ、えぁ………』
走って、その場から離れた。
別に、逃げたわけじゃない。
恐らく鈴は、あいつと戦ったんだと思う。
それで、返り討ちにあった。
(りんちゃんが、美味しそうだったからかな)
やはり少し外れたことを考えながら、ごんべいはある場所へと向かっていた。
そこは、この家で、必要最低の妖力と、
この家で、最も強力な結界が張ってある場所。