本・獄都事変

□発見
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走ってその場へ行く。

そこでみたのは、蠢く黒い塊と、


今にも喰われようとしている、無惨な鈴の姿だった。


『り、りんちゃん?』
声が震える。ついでに身体も。

その言葉で鈴はこちらに気づいたのか、こちらの方を向く。
すると、普段は見せない、いや、出会ってから一度も見たことが無いような笑顔がみえた。

「……………」
鈴はなにも言わない。それだけで、すべて理解した。

『あ、ぅ、えぁ………』

走って、その場から離れた。
別に、逃げたわけじゃない。


恐らく鈴は、あいつと戦ったんだと思う。
それで、返り討ちにあった。
(りんちゃんが、美味しそうだったからかな)
やはり少し外れたことを考えながら、ごんべいはある場所へと向かっていた。


そこは、この家で、必要最低の妖力と、

この家で、最も強力な結界が張ってある場所。
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