本・獄都事変

□始まり
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「鈴ちゃん、鈴ちゃん」
「………なに」
「あれは……どうするの?」
「どうもしない。ただ、追い出すだけ」
「そっか。……気をつけてね」
「ごんべいもな」

私と姉的存在、鈴は、家にやって来たバケモノを追い出そうと、そのバケモノを探していた。




ーー

そのバケモノは、突然やって来た。

ある夜、家の前にいた、死にかけ(消えかけ)の妖怪。
そいつは、もはや消えるのを待つしかないほどの状態だった。
それを、名無しのが救ってやったのだった。

数日して、よくなったその妖怪は、家に住み着くようになり、なれてくると朝方休みに戻ってくる以外は、夜な夜などこかへ出ていた。


同時に、徐々に大きくなっていった。

始め、名無しのと鈴は、「まだ子供だったのだろう」と思っていたのだが。

異変に気付いたときは、すでに遅かった。
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