本・獄都事変
□ドコナノ
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しばらく、壁にもたれ掛かったまま、そんなことを考えていた。
すると、目の前にいきなり黒い影が差した。
「君、大丈夫!?」
あのときの、蹴り飛ばした、ニンゲンだった。相方もいる。
恐らく、すごい音がしたからだろう。
心配そうな顔と無表情の顔。でも、根は優しそう。
(鈴ちゃんを思い出すなぁ………)
あぁそうだ、鈴ちゃん。
鈴ちゃんは、まだあのお腹の中にいるのかな。
もしかしたら、助けられるかな。
『りん、ちゃん………』
ごんべいは呟いて、刀を一閃。
その際、ニンゲンのうちの一人が小さく呻いたのは、ごんべいには聞こえていない。
その目は、怪しく光っていた。
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