本・獄都事変

□ドコナノ
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背後から話し声が聞こえる。
誰だろう。こんなところに。

来る人なんていないのに。


そんなことを考えていたからだろうか。
ふとした隙をつかれ、後ろへすっ飛ばされる。

1秒足らずで、長い廊下の端から端まで投げられる。一体、どれだけの力だったのか。
結構痛々しい音が鳴り響いた。

背中を打ち付けて、しばらく呼吸ができなかった。
でも、痛みはない。


ごんべいは、あの亡者と戦っていた。

まずは動きを止めて、腹の中にあるであろう己のペンダントを回収する。
その後、妖力を必要最低限だけ残してすべて削ぎ落とし、しかるべきところへつき出す。

これが、ごんべいの計画で、すぐに終わるつもりでいたのだが、予想に反して強い。
まず、攻撃が読みにくい。
身体から伸ばされる何本もの、槍のような触手。うねうねと動くそれらは、一本一本が生き物のように動き、隙をつくことができない。
触れただけでも切れるようで、まるで○刀流の剣士を相手にしているときのようであった。

さらに、力も強く、耐久力も高い。
あそこまででかくなっていれば当然なのだが、力一杯攻撃を入れたつもりでも、びくともしないのだ。
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