秋桜

□兄の決意
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サンチェン妃が亡くなって1年が経ち、テヒンは12歳、兄チジュンは14歳、チョナンは16歳になっていた。

喪が明けてすぐに、テヒンは世女として、チョナンの后になる準備に追われていた。


テヒンが、婚礼の儀式に向けて着々と支度に取り掛かる一方で、兄チジュンは、ソングン国王の元へ行っていた。



「なんだと?ではそなたは世弟(セジェ、世子の事実上の弟で第2皇子の別名)にはならずに、臣下に下ると言うのか。」

「はい、父上様。それが、亡き母上様との誓いなのです。」

それは、サンチェン妃が亡くなる前、あのテヒンと2人呼び出された日の事だった。





〜回想〜

テヒンが部屋を出た後、サンチェン妃はチジュンに声をかけた。

「さて、今度はチジュン、そなたの話を致しましょう。」

チジュンも姿勢を直して、話を聞く。

「先ほどのテヒンの話にもあったように、貴方もいずれ世弟となるでしょう。ですが、それを王様にお断りして欲しいのです。」

「…!?何故ですか!世弟にならぬのなら、私はどうすれば良いのですか。」

「貴方には、臣下に下って頂きます。そして、母の義兄、チャン・トンシ殿の養子として武官になって貰いたいのです。」

母の義父であるチャン貴官の息子、トンシは、その類稀れな武術の能力を生かし、親元から独立して、国の防衛や宮殿の護衛を司る部署の中将として働いていた。

「叔父上様の養子に…。」

「これは、母からの願いです。もし貴方がそのまま世弟として宮殿にいれば、世子様の地位を脅かす等と反対派の的となります。」

「それは…。」

チジュンは、必ずしも自分が政治の渦に巻き込まれないとは言いきれなかった。

「そして、母は貴方達よりも先に老い、命が尽きることでしょう。その時に、貴方にはテヒンを守ってあげて欲しいのです。」

〜回想終わり〜
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