G dream

□司法試験よりムズカシイ
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昨今は便利なものである。

例えば今、地球の裏側にいる人にメールを出せば、何らかの事情や機械の故障的な原因でも無い限り、すぐに受け取り見てもらえるだろう。電話もそうだ、ほとんど問題なく言葉のキャッチボールが可能である。
ソファで携帯電話を睨み付ける猫背の王泥喜を見て、成歩堂はそんなジジ臭い事を考えた。
今は昼休み、いや、腹休めという時間帯だった。味噌の溶けきらない塩っからいラーメンを男二人ですすり、カラッカラに渇いたのどを水で潤している。どんぶりは事務所の外に置いておいたから、そのうち親父さんが回収にくるだろう。
そろそろ世間では仕事に戻る時間に差し掛かっていた。だが生憎成歩堂弁護士事務所は暇である。無論芸能方面も、なんでも屋の方も。なので王泥喜が携帯のディスプレイとにらめっこしてても、成歩堂は口を挟まなかった。

(流石にみぬきが帰ってくるまでには終わるだろう)

学校から戻るまでどんぶりの回収も済んでいて欲しいんだけどな、と思った。実は昨日のお昼も味噌ラーメンにしたのである。毎日男二人が味噌ラーメンをすすっているのは、娘の心配の種になりかねない。

「どんぶり返してくるよ、暇だしね」

気の抜けた返事を背に、成歩堂は事務所のドアを開けた。チラリと目をやると、王泥喜は腹痛でも我慢してるかの様な形相である。

(頑張れよ)

まだ当分進展の無さそうな若者に、成歩堂は密かにエールを送ってドアを閉めた。
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