☆MAIN (別世界)

□不器用な俺、片翅の君 8
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余命宣告を受けてから、考えなければ

いけないことは、山積みだった。

が、その前に、一番、気掛かりだったのは、

明希の事・・・俺が居なくなったとしても、

新しい思い人が居たなら、困らないだろうが・・


だが、俺の思い違いで、もし、もしも、まだ、

俺を慕ってくれてるのなら・・・。

そう思うと、明希の気持ちを知る必要が

有った・・・。その上で、自分の終末を考えようと・・・。


マオさんとゆうやが帰った後・・・薄暗い店を見渡し、

この親父から、譲り受けた唯一の店もどうしようか・・・

と考え耽ってた時、明希が帰ってきた。


明「ただいま〜!しんぢさん・・・お店

休んだの?・・・病院は、どうだった?」

と、俺を覗き込んできた。


し「あぁ・・・

軽い肺炎で、大したことなかったよ・・」


明「そっかぁ。良かった・・でも、今日は、

お休みしたんだね?」

と柔らかく、微笑んだ。


(明希の真意を確かめる・・・何時?どうやって?)

そんなことを考えながら、極力、普段どおりにと

努める。


し「大学病院に行くだけで、ちょっと、疲れたから、

休んだんだよ・・・笑。明希、飯食いに行こうか?」

明「えっ!?しんぢさん、体調は、大丈夫なの?」

し「あぁ・・・大丈夫だよ。笑」


一緒に暮らして、初めての外食に、

はしゃいでた明希は、これまでとなんら変わりなかった。


この数日間のギクシャクしてた感じが嘘の様に。



最初で最後の二人の外食ディナーに

成るかもしれない・・・。


そう思った俺は、明希がずっと行きたいと

言ってたイタリアンレストランに、

連れて行った。


赤ワインとお勧めのコースを注文。

「乾杯をしようか?」と、言うと

明希は、「何に?」

と嬉しそうな笑顔を浮かべた。

し「明希の幸せに・・・」というと、

明希は、「しんぢさんの幸せに・・・」と

グラスを合わせた。


料理を口に運びながら、俺は、おもむろに、

し「バイトは、どうなの?

詳しく聞いてないけど

どんな仕事してるの?」と聞く・・。


すると、ナイフとフォークを置いて


明「うん・・・慣れたよ、大分。

アクセの販売とか半分で、

TATOOとかボディ・ピアススタジオ半分で

受付とか、レジとかやってて。笑」

と微笑んだが、何かしら?

を隠してることくらいは、感じ取れた。


し「へぇ・・そっかぁ・・・。」

それ以上は、会話が、弾まなかったが、

明希は、ニコニコと「美味しいね!」

と喜んでる。


この笑顔も、もうすぐ見れなくなるのか?と

考えると、俺は食事が進まず、代わりに、

自棄気味に、

ワインを浴びるように、流し込んだ・・・。


病気の所為なのか?精神的なものか?は、

解らないが、俺は生まれて初めて、

酷く酔ってしまった。


不覚にも、明希に、抱えられて、帰った。


明「しんぢさん、ごめんね。やっぱり、

体調が悪かったのに、無理させちゃったね。」

そう言いながら、細い身体で、俺を支えて。


ベッドに、雪崩れ込んだ俺は、明希の腕を

引き寄せ、激しく口付けた。


すると、拒否なのか?俺の胸を押し、

離れようともがく・・・。


明「ダメ!しんぢさん、体調良く無いじゃん!」


し「良いから!」とまた、激しく口付けながら

明希のTシャツに、手を滑り込ませた。


明「ダメ!ダメだって・・・」と抵抗をする。

両手首を掴み、馬乗りに成って、首筋に、

貪りつきながら、耳元で囁く俺・・・。


し「他に、好きな奴でも出来たの?クス。」


明「何?それ???」

と泣きそうな声で答える。


し「それでも、良いからさ。今夜は、

やらせろよ!」

と身包みを剥いでいった。


明「やだ!今夜のしんぢさん、変だよ・・」

と激しく抵抗を続ける明希。



(やっぱり、他に、誰か?いるんだろ?)


確信はないのに、勝手にそう断定して、

俺は、泣きながら、じたばたする明希に、

ビンタを食らわして、凌辱した・・・

嘗ての義父のように無理やり・・・。


明希自身を捌きだすと、身体が反応し、

抵抗を止めた。

息が上がって来て、小さく喘ぎ声を漏らした頃

俺自身を強引に、ねじ込んで、

「俺のより、そいつのが良かったのか?」

と何度も腰を打ちつけた。


事が終わって・・・止めを刺すように

捨て台詞を吐いた。


し「俺が嫌に成ったんだろ?クス。

とっとと行けば良いよ・・出て行け!」

と背中を向けて、布団を被った。


明「そんな人居ないのに・・・

しんぢさん・・・酷い・・・」

と服を拾い集めて、寝室を出て行った。


(これで、終わりだな・・・嫉妬を言い訳に、

こんな風に傷つけたら、明希は、

俺と別れやすくなる・・・いずれ、

離れていくなら、早いほうが良い・・

俺には、限られた時間も短いのだから。)


それが、明希の為だからと腹を括った筈だが、

涙が溢れて仕方なかった。

余命宣告を受けた時とは違う

心は引き裂かれるように痛んだ・・・。
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