千堂*長編小説

□3章
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チチチッ……

鳥のさえずりが聞こえる

(もう朝か……。)


少し肌寒く布団にくるまり再び眠りにつこうとする





「…………って…………朝!?!?」


ガバッと勢いよく起き上がり時刻を確認する


現在の時刻は午前8時

授業は8時半からだから急げば間に合わないことは無いが


「お弁当作る時間ない!仕方ないからお昼は購買で買うとして、朝ごはんの準備しなきゃ……!」


独り言を呟きながらバタバタと朝から動き回る


そうして、朝食が出来たらそれを急いで掻き込み、身支度を整えたらすぐに家を出る





「あ、忘れてた……これも持ってかないと」


慌てて引き返し、危うく忘れるところだったものを手に取り今度こそ家を出る



さて、今日も頑張りますか!


ーーーーーーーーーーーーーーーーー
カツカツ……


チョークの音だけが教室内に響く静かな1限目の授業中。




私はというと、幸い家は学校から自転車で10分程度の割と近いところだったためなんとか授業に間に合うことが出来たが、寒い中自転車を漕いできたので息切れがひどい


運動しないとな……どうしよ。

と、毎回思うがなかなか実行しないのが私の悪いところである


(そういえば叔父さん、スポーツ選手だったな……簡単に出来る運動とか教えてもらおう)


結論が出たことで授業に集中する。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー

…………キーンコーンカーンコーン。

「は〜やっと終わったー!」

「お疲れー、そういえば今日さー……」


ガヤガヤと授業終了のチャイムが鳴るやいなや騒がしくなる教室内。



私は朝からドタバタしたせいで疲れていたので少し休憩のつもりで寝る体勢に入るが


「おはよう、結月ちゃん」




…………寝れなかった……。でもまあ、寝過ぎは良くないなと思い体勢を戻し挨拶を相手に返す







「おはよう久美ちゃん、昨日はありがとね楽しかった!」



「こちらこそ、またいつでも家に来てね!今度はお兄ちゃんにも紹介したいの」


「うん、そうする。あと、そうだ……」

「?」



カバンの中を探ってお目当てのものを取り出し、久美ちゃんに手渡す


「はい、昨日楽しませてもらったからそのお礼に!」




「え……そんな、もらってもいいの?」


勿論だと返すとありがとうと嬉しそうに受け取ってもらえた。


気に入ってもらってよかったと本当にそう思う。



「あれ?そういえば結月ちゃん、今日着けてこなかったんだね」


「ん?何を?」


「何って……あのマフラーよ!寒くなったから着けてこようかどうしようかって昨日言ってたよね?」



「!!」


……………………完全に忘れてた。


でも、思い直すと一応名前も知らない人のものだからやっぱり身につけられないかも……。


「んー……忘れちゃった、朝ドタバタしててさ。でもいいよ、人のものだし着けるのはやめとく」


「……そっかあ」


思ったままのことを伝えたら久美ちゃん何故か残念そうだ。なんかごめんね。




ガラッ




はーい、席につけー。と次の授業担当の先生が教室に入ってきたため話はそこで終了した
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