naturally

□苔の海
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柔い土に足をとられながら
君は進むことをやめない

僕もあわてて
呼吸と歩調をあわせる
この森の ひとつの深呼吸音


光が差し込んだ時
「明日死ぬかもしれない」

そう、急に切り出して
君を驚かせたかった



ずっと、さようなら

僕らが倒れた後には
新しい命が芽生えるから

楽しい一生も
苦い一生も
 等しく 渡し続けるから



僕がうそをついた時
「実は私もそう思ってたの」

そう、言われたことが
一番苦したった


君は黙って 歩き続ける



ずっと、さようなら

どんなに倒れたって
また新しい命が芽生えるから

楽しい一生も
苦い一生も
 等しく 誰かの糧になるから
ここまでこれた



僕らは 永遠に、とはいかない

深く呼吸をする時間すら
与えられてない



ずっと、さようなら

僕らに何が起ころうと
新しい命は芽生え続けるから








こんな時間だ

凛とした空気を
初めてちゃんと吸い込めた時



君は目の前に








結局さいごまで
大事なことを言わなかったね



僕も隠し通したつもりだよ

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