小説

□あなたの愛は痛い
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「くっ……巴っ…イくっ」

「あぁっ…んっ…」




何度目かの激しい交わりの後、

お互いの乱れた呼吸が落ち着くまで剣心は巴に優しい口づけを繰り返した。




ちゅっ…ちゅぅっ…

「はぁ…はぁ…はぁ…ともえ…」

剣心は巴の上に脱力しきった身体で覆い被さっている。



口付けの後は愛しそうに汗で湿った巴の前髪をかき上げながら、

「巴…」と呼ぶ剣心の表情に笑みが零れた。




情事の後も彼はひどく優しい。




途端、今にもくぅーん…と鳴きそうな子犬のような哀しい顔をする。




それが私の前でしか見せない顔だと私は知っている。




「どうしたら君に俺の気持ちが伝わるのかな?」

「え…?」




「こんなに好きなのに……俺の心の中を巴に全部見せれたらいいのに…」




惜しみなく彼はいつも真っ直ぐの気持ちを真っ直ぐの視線で吐露してくれる。
恥ずかしいことを散々した後なのにこんな些細なことがとても恥ずかしい。



巴は顔を真っ赤にした。



「ふふ…巴の白い肌が赤くなった。巴は分かりやすい…」

言いながら巴の赤くなった首すじをべろっと舌で大きくなぞる。




「あっ…あなた…」

「どれだけ抱いても足りない。巴がたりないんだよ。」


「…この気持ち伝わってる?」
巴のおでこをくっつけて言う。




どうして……いつもそんな真っ直ぐの愛情で…




少し涙ぐむ巴は上に乗っかっている剣心の背中に両手を回して抱きしめる。

「大丈夫です…痛いほど伝わってます…」




あなたに少しでも笑えて伝えられたらいい……

あなたの痛いほどの気持ちを私も優しく返せたらいい……





「好きだよ、巴。せめて言葉で伝えられたらいい…

好きだって、毎日言うよ。」




にこっと屈託なく笑う顔に[[rb:絆 > ほだ]]される。


彼はこんな顔で笑える人だったろうかと巴は驚く。



剣心の瞳はいつしか怪しい色を帯びて…

「好きだよ…巴……も一回しよ?」


巴の返事は聞かないまま首すじに顔を埋めて口付ける。






私たちはお互いに別れの瞬間を感じてる。

このまま幸せなわけがないことを知っている。

だから彼はいつも不安がる。




だから真っ直ぐに気持ちを私にぶつけてくれる。

それを私はいつでも受け止められたらいい……




不器用なやり方しか出来ない私たちだけど……。





「あっ……」

剣心は巴の谷間に顔を埋めて夢中で乳房に吸いついている。





あなたの愛は…

「くすぐったい……」


そして…とても痛い。



巴は嬌声を上げながら剣心に気づかれないよう、静かに泣いた。

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