ハイキュー
□君と恋を知る
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「なあ、最近あの子よく練習見に来てるよな?誰かの知り合いか?」
ノヤッさんの視線の先には、恐らく1年生と見られる女子生徒の姿があった
「確かによくいるな!1年の誰かが知ってるんじゃねーの?」
そう言って1年の4人に顔を向けると、影山日向はキョトンとしていたが山口が反応した
「あ、あの子ツッキーと俺と同じクラスです」
「もしかして月島の彼女か!?」
「ツッキーは彼女いないですよ」
「…なんでお前が答えるの山口」
「ごめんツッキー!」
2人のやり取りを聞きながら、女子生徒に視線を移す
そのとき一瞬目が合ったが、すぐに逸らされた
やっぱり俺って目つき悪いのか?
よく女子から言われる言葉を思い出して溜息が出た
**
「やべっ」
レシーブし損ねたボールがコートの外に転がっていった
その先にいたのは先程の女子生徒で、足元に転がったボールを拾い上げてくれる
「悪い、ボールこっち投げてくれ!」
そう声をかけるが、反応がない
どうしたのかと思い駆け寄る
「おい、どうした。ボール貰っていいか?」
俺が近寄ってきたのにビビったのか、小さく肩が揺れたのがわかった
「す…」
「あ?なんだどうした?」
何か言おうとしてるのに気付き顔を覗き込むようにすると、バッと頭を下げてボールをこちらに差し出しながら叫んだ
「好きです!田中先輩!」
「…へ?」
その瞬間の俺の表情は、きっと相当アホ面だったと思う
ぽかん、と口を開けたまま呆然と立ち尽くしていた
「しっ、失礼しました!!」
自分がやらかしたことに気付いた彼女は顔を真っ赤にしボールをその場に置いて、走り去ってしまう
俺はというと…身体も思考も完全に停止していた
体育館内はどっと騒つく
「た、田中が…!告白された!?」
「名字さんって、田中さんのこと好きだったの?ツッキー!」
「僕が知るわけないデショ。本人が言ってるんだからそうなんじゃないの」
「すっげー!告白始めてみた!田中さんすげー!」
好き勝手に騒ぐ部員たち
「お、おい…龍?」
いつまで経っても動かない俺を心配するようなノヤッさんの声も、遠くに感じた
…あの子、何て言った?
好きですって言ったよな
誰を?俺か?
本当に俺なのか?
田中ってこのチームで俺だけだよな
「……!!」
ぶわっと涙が飛び出る
「うわ!?」
「はじ、はじめて!女子に!!女子に告白されたあああ!!」
(…ツッキー、明日うちのクラス賑やかになりそうだね)
(休もうかな…)