紡夢の理想郷

□序章 紡夢の噂話
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すべての始まりは
誰かと誰かの会話から
「紡夢って知ってる?」
何処から広まったのか
この会話の主が誰から聞いたのか
はたまたこの会話の主が元凶なのか
誰も知る事は無い
「夢の中で夢を見ると見る事が出来る夢の世界なんだよ」
その会話は一見
楽しげな子供の会話でありながら
「その世界では自分の望む姿が貰えるんだって」
何処か闇を持ったような
そんな話でもあった
「でもこの世界に入ると二度と元の世界には戻れないの」
しかし確かにこの話は本当のように思えてくる
いや、本当なのではないかと思わされてしまう
何故ならこの噂が様々な場所で語られる様になってから
各地で原因不明の病が流行った
自分の部屋の中でベッドに眠るように
学校の屋上で学生が涙を流しながら
ペットの亡骸を抱えながら座り込んで
食べ物に飢え路地裏で空を見つめるように

人々が突然の昏睡状態に入り
死ぬ事も無くただ眠りにつき
二度と起きないという事件が相次いだ

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