血を見れば君を
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医療班の元へ到着し、保護の経緯や状況を説明する
彼女の目が覚め次第、情報班を手配することになった
目が覚めた際には自分にも連絡が欲しいと言付けてその場を後にする
―自然とあの場所に足が進む
時刻はすでに朝の6時を回り、朝日が差し込んだ慰霊碑はキラキラと光を放っていた
「…仲間が4人、そっちにいったよ…」
また…助けられなかった…
「…お前の写輪眼から今の世界は見えているか?…オビト」
大戦は終わり、平和にはなった
お前達が死んだ時に比べれば
ただ相変わらずオレの周りでは人が死んでいく
「…お前が火影になった世界はどんなものになってたんだろうな…」
時々思う事がある
多くの命が、里のために失われる
志半ばで、人生を全うできない者たち
「…失うことがない世界はないのか…」
頭の中に少女が浮かぶ
「リン…あの子はお前が呼んだの?リンにそっくりでビックリしちゃったよ…あの子は何者なの?」
口を持たない慰霊碑に語りかける
返ってくる言葉はあるはずもない
分かっているはずなのに…
この世にいない者たちに語りかけてしまうのは
まだ自分があの時に取り残されてしまっている証拠なのかもしれない
―経験を糧にするには、
失うものがあまりにも多すぎた
「…また明日くるよ…」
慰霊碑に背を向け、自宅への道のりを歩き出した
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