短編
□山崎の場合
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『ごめんね弘くん。驚かせちゃったね。』
弘くんを落ち着かせるように頭を撫でてあげる。暫く撫でていたら落ち着いたみたいで、震えが止まった。
「てかさー、マジでその子誰なわけ?」
『……多分ザキだと思う。』
「は?」
『名前聞いたら山崎弘って返ってきたし、似たようなことがつい先日あったし…。』
「名無しそれマジで言ってんの?頭大丈夫?ババロアつまってんじゃない?」
『ぶん殴っていい?』
原ちゃんの言葉にムカついてそう言うと、弘くんがビクッとした。…弘くんの前では物騒な言葉は使えないみたいだ。くそっ、めんどくさい!
『…前に原ちゃんが私の膝の上に乗ってた時あったでしょ?』
「ああ、名無しが俺に襲いかかってきた時のこと?」
『うん、全然違うね。頭大丈夫?』
原ちゃんは「冗談だってー。」とケラケラ笑いながらそう返してくる。ザキが元に戻ったら黄金の右ストレートを喰らわせてやるからな、覚悟しとけ。
「そんで?それがなんか関係あんの?」
『うん、その時原ちゃんもちっちゃくなってたんだよ。』
「…は?」
『マジで原ちゃんもちっちゃくなってたの。ちっちゃい原ちゃんは可愛かったのになぁ…。』
「何それ今の俺は可愛くないの?」
『当たり前でしょ。って、話変わってきてるじゃん。まぁ聞きたいなら古橋とか花宮くらいに聞きなよ。アイツらもいたし。』
そう言うと、タイミング良く部室の扉が開いた。
『あ、ホラ古橋だよ。古橋結構長い間いたし、原ちゃんがちっちゃくなってた時のこと古橋に聞いたら?』
「んー、まぁ気になるし聞いとこっかな。」
「何の話だ。」
原ちゃんが古橋に聞いている間、私は弘くんと遊んどこー。そのうち元に戻るんだろうし、今のうちに可愛いザキを堪能しておく。
弘くんが古橋が入ってきた瞬間、怯えてたのは見逃してないからね!能面怖いもんね…。
『弘くん、ああ見えて古橋はいい奴だから怖がらなくていいよ。顔はアレだけど中身は普通だし。』
「褒めるのか乏すのかどっちかにしろ。」
小声で言ったつもりが聞こえてたらしい。真顔でこっち見んなよ。