戦地勤務

□第一話 迷子になったらとりあえずタイムマシンを探そう
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地につく足元には草花。
遠くに見えるは高い壁。


「ここ、何処」
「知らね」

「いや、知らねじゃなくて」

コンマ一秒も経たずに返答が返ってきた。




第一話 迷子になったらとりあえずタイムマシンを探そう





「おいおいおいおい、何でこんな事になってんの?何処ですかここは?なんでこんな草原なんかにいんの俺。さっきまで薄汚ねーポリ公共の巣窟にいたよね?俺」
「知らね」
「知らねじゃねーよお前、どうやったらこんなゴリラ筆頭のチンピラ集団から綺麗な木々草花に変わるよ。似ても似つかねーじゃねーか。なにこれ、新手の取調べ?新しく導入したの?」
「知らね」
「いや、知らねじゃなくて」


事の始まりは、我々真選組が指名手配犯である攘夷志士を捕まえた事だった。

どうやら追っていたのは万事屋も同じの様で、依頼主からとある物をその犯人から奪い返してほしいと奮起していたらしい。

だが、犯人の居場所が特定し、いざ押し入ると俺たち真選組と鉢合わせ。
犯人逮捕はできたが疑われた万事屋一行は、何かと因縁を付けたがりな土方により屯所へと強制連行。

そして、長ったらしい取り調べの中、押収した物を手に取りニヤけた面した沖田隊長が俺たち二人に向けて開け放ったのが銀時と俺の最後の記憶だった。


「…って、アイツがわりーんじゃねーかァァアアア!!」

「沖田コノヤロォォォオオオオオ!!」


二人して数分前の出来事を思い出していたら原因がわかった。それからの記憶がないから恐らくそれが正解。
沖田テメーコノヤロー。何してくれんだ

「何?何なの?お宅の子!どうしたらあんな子に育つの?やんちゃにも程があんだろーが!!」

「知るか!俺もそのやんちゃな沖田の被害者なんだよ!これが何か知りてーんなら開けりゃいいじゃねぇですかとか言いながらマジで開けたあのバカの被害者なんだよ!つーか、なんなんだよアレ!お前らが探してたもんえらいえげつねぇじゃねーか!!何処だよここ!!」

「チクショー!今日こそたらふく飯が食えると思ったのに!オイコラ、犯人逮捕に協力してやったんだから礼はたっぷり弾ましてもらうぞ。テメーんとこのやんちゃなガキの罪も上乗せだからな。後、冤罪についてもだ。きっちり誤解を解いてもらうぞ。」

「帰れたらな!つーか、なに話逸らしてんだよ。飯云々よりも今大事なことがあんだろ!」

「あーん!?これも大事だろーが!何言っちゃってんのお前!?知らねーだろ、塩と砂糖しかない辛さを知らねーだろ」

「知らねーよ!てか知りたくもねーよ!とりあえずテメーの居場所ぐれーは知りたいね!」


まだ何か言いたそうな顔をした天パに、埒があかないとシカトを決め込めてもう一度辺りを見渡す。
やんややんや後ろで何か言っている奴は放っておこう。これが最善だ。進むもんも進めやしねぇ。


「……。」

風が吹き付け、太陽が雲から顔を出す。

やはり、我々が普段見慣れている景色ではない。
空に飛び交う船も無ければ、高い建物すら近くには無い。
あるとすれば、一層異質な空気を放っているあの高い壁。


「バカでけーなあれ…」

「おい」


遠くに見える町らしきものよりも一段と高い。
50Mはあるんじゃないだろうか?
…あれは一体何の為の壁なのだろう。何かを隔てているならその奥が見てみたい。

「待て待て待て待て!!どこ行く気だ!!ごめんね!銀さんが悪かったから!ごめんね!シカトって結構精神的にくんだぞ!」


「…犯人逮捕や沖田の件だとかは帰れたら、だ。今はここが何処なのか、どうやったら帰れるかを話す必要があると思うんだが…違うか?」

「はい!俺もそー思います!すみませんでした!」

「よし、じゃあまずは、あの町の様子見からだな。いってらっしゃい銀時。」

「待たんかァァァい!!何!俺一人で行くの!?おかしくない!?案出したのは太郎くんだよね!?」

「いいから行けっつってんだろーがァァァ!!」
「ぶべらっ!!」




第一話 迷子になったらとりあえずタイムマシンを探そう


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