陸の夢

□花が咲く〜紫〜
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才華は毎日上機嫌だった。秀麗と影月は優しいし、仕事は面白い。比例するように睡眠時間が減ってはいったが、全く気にしなかった。目の下に濃い隈ができても変わらず元気な才華に、誰もが驚いていた。

朝礼の時。才華はこっそりと魯官吏の目を見た。
(うん、やっぱり黒色少ない。それより危険なのは蔡尚書よね)
嘲りや蔑みや憎しみやらの視線を最も向けてくるのは『誰』なのか……才華にはよく分かっていた。
(で、課題は……不正の告発とか、そんな感じで。提出後が楽しみね)
と、少し目眩がして才華は額を押さえた。
(無茶し過ぎた……? いやいや、まだやれるわよ。徹夜の一つや二つ)
くらり。また目眩がした。
(しっかりしなさい、私! まだやれる、まだ頑張れる、こんなとこで負けてられるものですか!)
ぐらぐら。霞む視界と揺れる体を気力で保って才華は前を向いた。
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