お話し・ぱられる

□愛音
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リーン...ゴーン...
リーン...ゴーン...

澄んだ愛の音が、どこまでも青い空に鳴り響く。
青に映える真っ白な教会は、輝くようで。
美しいステンドグラスから降り注ぐ色とりどりの光が今日という日を素晴らしく彩って、中に飾られた花たちは誇らしげに咲き誇る。
人々が椅子に座って見守る先には、教会に響く賛美歌に包まれる真っ白なタキシードに身を包んだ新郎。
彼は緊張しつつも、とてもとても嬉しそうな様子で、愛する新婦のことを待っていた。
俺はそんな新郎の姿を、友人席から僅かに目を細めて見つめる。

「それでは、新婦の入場料でございます。」

神父の厳かな声が告げれば、ドアが静かに開かれる。
ギイィ、と重たい音と共に開かれたドアの先には、初老の男性に腕を引かれた花嫁の姿。
純白に輝くウェディングドレスを纏うその姿は、正しく幸せの象徴だ。
顔はヴェールに隠されていてよく見えないが、その横顔からは幸せがにじみ出ていて、ほんの少しだけ目をそらす。
一歩一歩、バージンロードを歩んでいく。
可愛らしく着飾った子供たちに持たれている長いベールが、ステンドグラスの光を反射してキラリと光る。
そして、花婿の元へとたどり着いた花嫁は、そっと寄り添うようにそばに立つ。2人が目が合った時、僅かに微笑みあったような気がした。

傍から見ても仲睦まじいその様子をただ俺は見つめている。
賛美歌を全員で歌う。隣で歌う近藤さんの涙混じりの歌声がほんの少し笑えた。

朗々とした声で聖書を読む神父の声がホールに反響する。
全てがあの二人を祝福しているかのような、とてもとても、幸せな風景。

(――――あぁ、)

まぶしいな。
ボソリと呟いた声は、神父の声にかき消される。

「汝、坂田銀時は、この者を妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も共に歩み、他の者に依らず、死がふたりを分かつまで愛を誓い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の元に誓いますか?」
「―――誓います。」
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