お話

□甘い毒
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ベランダに出て夕焼けを眺める
片手にハイボール、片手にチュッパチャプス
徹夜をして一日中キャンバスに向かい気の向くままに作品を仕上げた
滅多にない休日を自分の好きなように過ごす
「つよぽんは仕事してっかなぁ」
そして思い出すのは大好きな人
「真っ赤な夕日」
ハイボールの缶を一気に飲み込み
小さくなったチュッパチャプスをガリガリと噛みくだいた
ソファに座りクッションを抱きしめるとアルコールのせいか、徹夜のせいか意識が途切れてしまった

「寒っ」
パッと目を覚ますとベランダの出入り口が開きっぱなしでレースのカーテンがパタパタと揺れている
「寝ちゃったよぉ」
入り口を閉めカーテンを閉めて、時計を確かめると9時をすぎている
冷蔵庫から飲み物を取り出し、テーブルに置いていた携帯を手にすると履歴の一番最初にある名前を選んだ
『しんごぉ?どーしたぁ』
間の抜けた愛おしい声
「仕事終わった?」
『帰るところだよ』
「ねぇ今から来ない?」
『お前酔ってる?』
「今日オフだったから飲んでる」
『そうなんだぁ』
電話の向こうでクスクス笑うのがわかる
「ねぇ、俺にも生姜焼き作ってよ」
『いいけど』
「じゃぁ一緒に買い物行こう」
『そこから?どこ行くの?』
「うちの近くのスーパー」
『お前の近くのスーパーって高級スーパーじゃん』
「いいから!どんくらいでつく?」
『10分位かな』
「入り口で待ってるから」
飲みかけの缶を一気に流し込むと足取りも軽やかに部屋をでた


スーパーの脇で待っていると、見慣れた車が止まって草gが降りてくる
「つーよぽん」
肩に腕を回すと、体が強張るのを感じた
『慎吾』
顔を見上げ確認すると肩の力が抜ける、なんか可愛い
「時間通り!さぁ行こう」
買い物カゴを持ち店内に入った
生姜焼きに必要な食材と《肉には野菜》と言い切る草gはサラダを買う
アルコールやツマミを買いたし夜道を肩を並べて歩いた
「なんかいいよね」
『ふふふ、悪くないねぇ』
時折、肩をぶつけながらマンションに帰ってきた


キッチンに立ちビール片手に生姜焼きを作り始めた横で俺はサラダやツマミを準備する
「この前は中居君の為だったんでしょう?」
イタズラ心で背中から抱きしめるとくすぐったそうに肩を揺らす
『調理中は危ないって
それに慎吾は前にも食べたじゃん』
ちょっと見上げた顔が笑ってる
笑った唇にキスしたいなぁ、なんて思った
「俺のために作ってよ」
『もしかしてヤキモチやいてたの?』
「そんなんじゃないけどぉ」
『お前、ほんっとうに可愛いな』
この勝ち誇った兄貴ヅラがなんかムカつく
ムカつくから首筋に噛み付いてやった
『あんっ、、、ちょっと』
一瞬甘い声だした?
もう一度、次は歯を立てた後にちょっと吸い付く
『やぁっ、ダメだって』
身をよじって離れようとする身体を強く抱きしめる
「感じたんじゃない?」
腕の中で項垂れた頭を軽く降ると腕を強く掴んできた
『本当ダメだって、生姜焼き作れなくなる』
「それは大変!お楽しみは後にとっとかなきゃ」
わざとらしく声をあげて草gの顎を掴むと、ぐいっと上げ素早くキスをした
真っ赤な顔をしたままフライパンに向かうその姿を見つめてしまう
「お肉いっぱい食べたら、いっぱい運動しようね」

食後の運動は朝までコースがいいなぁ
なんて休日の最後の時間をやっぱり大好きな人と一緒に過ごしたい

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