あらがうもの

□隠れ穴へ
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「ハリー、久しぶり。誕生日パーティに出席できなくて、ごめんね」


フィービーの謝罪を受けたハリーは苦笑して、「先に予定が入っていたなら、仕方ないよ」と答えた。

かぼちゃジュースの入ったピッチャーを持っていたロンは、「惜しいことしたな、フィービー」と言ってきた。


「ハリーとチャーリーのシーカー対決を見逃したぞ」


聞けば、7対7でクィディッチができる人数が金獅子荘に集まったので、ミニゲームをしようという流れになったらしい。

ホグワーツを卒業したビルやチャーリー、グリフィンドール・チームのキャプテンだったオリバー・ウッド、ハッフルパフ・チームでビーターとして活躍したトンクスも参加したようだ。


「ウッドはパドルミア・ユナイテッドと、入団契約を交わす予定なんだって」

「イングランドの名門チームに入団するなんて、すごいね。ウッドが卒業する前に、サインをもらっておけばよかった」

「ウッドもワールドカップの観戦に行くって言っていたから、向こうで会えるかもしれないよ」


ほどなくしてアーサーさんが帰宅すると、パーシーはようやく自室から出てきた。

総勢13名が顔をそろえた食卓には、モリーさんとモニカが腕を振るったご馳走がいく皿も並んだ。

フィービーはモニカが作ったタンドリーチキンを食べながら、ワールドカップの話に耳を傾けた。


「絶対アイルランドだ。準決勝でペルーをペチャンコにしたんだから」


ポテトを頬張ったまま熱弁をふるうチャーリーに対し、チキンハム・パイをかきこんでいた双子の片割れがフォークを剣のように持って反論した。


「でも、ブルガリアにはビクトール・クラムがいるぞ」

「クラムはいい選手だが1人だ。アイルランドはそれが7人だ」

「チャーリーの言うとおりだよ。アイルランドのチェイサー陣は、近来にない強豪なんだから」


フィービーが熱をこめて支持すると、チャーリーがむせた。

5つ年上の兄がポテトで呼吸困難になった様子を見て、双子の反応が分かれた。片方はニヤリと笑っているけど、もう片方は真顔になっている。


「イングランドが勝ち進んでいればよかったんだけど」


野菜のハニーローストを自分の皿にとったセドリックも、議論に入ってきた。

それがきっかけになって、他国にボロ負けしたイングランドやウェールズやスコットランドの話題に変わった。


「バーサ・ジョーキンズがもう1ヶ月も行方不明なのをご存知でしょう? 休暇にアルバニアに行って、それっきりだって?」


テーブルの一番端で、鍋底の報告書について父親に話していたパーシーの言葉が、フィービーの耳に飛びこんできた。


「ああ、そのことは私もルードに尋ねた。ルードが、バーサは以前にも何度かいなくなったと言うのだ──もっとも、これが私の部下だったら、私は心配するだろうが──」


眉をひそめたアーサーさんは深刻そうに言ったが、パーシーは「まあ、バーサはたしかに救いようがないですよ」とばっさり切り捨てた。
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