あらがうもの
□学期末パーティ
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「チョウに会ってくる」
「フィービーってチョウ・チャンとも仲がよかったの? それともまさか……彼女はセドリックといい関係だったりするの?」
質問してきたハンナは、恐怖と好奇心が入りまじった表情を浮かべた。
きっぱり否定したフィービーは、チョウに借りた本を返しに行くだけだとよと言った。
中ほどの車両のコンパートメントで、チョウを発見。フィービーが戸をノックして開けてチョウを呼ぶと、彼女はレイブンクロー生の女友達とのおしゃべりを中断して出てきた。
「長いこと本を借りちゃってごめんね。チョウの翻訳ノートのおかげで、符術を理解できたと思う。どうもありがとう」
「お役に立てて何よりだわ。またいつでも声をかけてね」
やわらかく微笑んだチョウは、1歳差とは思えないほど大人っぽく見えた。
セドリックが落とされるのは時間の問題かもしれない。
フィービーが肩を落として通路を歩いていると、魔法の花火を打ち上げているにぎやかなコンパートメントがあった。
もしやと思って見たら、予想通りフレッドとジョージだった。
「フィービー!」
双子と同じコンパートメントに乗っていた、ハリーたちに呼ばれた。
やあ、とあいさつしてきたハリーは空元気のように見えた。
シリウスと口論したことをまだ引きずっているようだ。
「ハグリッドからお詫びに、ドラゴンの写真をもらったんだ。フィービーにあげるよ。そうだ、フィービーも金獅子荘に遊びにきてよ。リーマスは古代魔法生物の研究をしているから、きっと話が合うよ」
とても心引かれる誘いだけど、シリウスたちと会おうとすれば、バジルが妨害してくるだろう。
「3対3でクィディッチのミニゲームをしようぜ」
「もしくは悪戯の研究」
「クィディッチや悪戯もいいけど、ジニーの誕生日の8月11日はパーティをして、みんなでお祝いしなきゃ。8月11日は、ジニーの誕生日なんだから!」
「なんで2回も言うんだよ」
「大事なことだから」
それとハリーに意識させるためだ。
ハリーが隠れ穴ではなく金獅子荘で夏休みを過ごす展開になったら、ジニーが残念がるだろう。
グリフィンドール勢に別れを告げたフィービーは、ハッフルパフの友人のところに戻った。
スーザンの指導のもと4人分のビーズの指輪が完成したころには、車窓の外は田園風景から、建物がひしめく街並みに移り変わっていた。
制服から私服に着替えてから、到着したキングス・クロス駅のホームに降りる。
壁から生徒が一気に出るとマグルが不審がるので、年寄りの駅員が9と4分の3番線の改札口に立って、ゲートから数人ずつ外に送り出していた。
「フィービー、またね」
「手紙を書くわ」
「うちに遊びに来てね」
ハンナ、スーザン、マーサと再度お別れしたあと、フィービーはセドリックを探した。
ウサギフクロウのアポロを入れた籠を持った兄は、外に出る生徒の列の中ほどで見つけた。
「フィービー、覚悟しておいたほうがいいよ」
セドリックはフィービーをちらりと見下ろして言った。
「フィービーが夜中に寮から抜け出して危険な罠に立ち向かったことは、すべて手紙に書いて父さんと母さんに知らせておいたんだ」
さわやかな笑顔とは裏腹に、セドリックは容赦ない宣告をしてきた。
改札口が近づくのを見ながら、フィービーはホグワーツに戻りたいと心から願った。
1年目〜完〜
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