あらがうもの
□学期末パーティ
6ページ/7ページ
「四番目はハリー・ポッター君……」
生き残った男の子の名前が出ると、大広間は物音ひとつしなくなった。
「……その完璧な精神力と、並はずれた勇気を称え、グリフィンドールに50点与える」
照れくさそうに笑ったハリーに、グリフィンドール生は大歓声を送った。
「これでグリフィンドールはスリザリンと同点になったぞ!」
アーニーは騒ぎに負けないように、声を張り上げた。
「寮杯は引き分けですね」
「ダンブルドアがハリーにもう1点多く与えてくれたらよかったのに」
校長が手をあげたので、大広間は静けさを取り戻した。
「勇気にもいろいろある。敵に立ち向かっていくのにも勇気がいる。しかし、味方の友人に立ち向かっていくのにも同じくらい勇気が必要じゃ。そこで、わしはネビル・ロングボトム君に10点を与えたい」
グリフィンドールのテーブルから、爆発したような勝利の雄叫びがあがった。
ハッフルパフ生とレイブンクロー生も立ち上がって、拍手喝采に加わる。
逆転の決定点を稼いだネビルは、みんなに抱きつかれて姿が見えなかった。
「したがって、飾りつけをちょいと変えねばならんのう」
声を張り上げたダンブルドア校長が手を叩いた。
次の瞬間、大広間を覆っていた緑と銀の垂れ幕が真紅と金色に変わった。
スリザリンを象徴する巨大な蛇が消えて、グリフィンドールのそびえ立つ獅子があらわれた。
マルフォイは恐れおののいた表情を浮かべていた。
天国から地獄に突き落とされたも同然だから、無理もない。
スネイプ先生は苦々しい作り笑いを口許に貼りつけて、得意満面のマクゴナガル先生と握手していた。
ハッフルパフ寮でふて寝しているだろうバジルに、映画どおりの展開になったよとは報告できないなと思った。
───
──────
──────────
ダンブルドアがバジルを捕獲しにくるのではないかと気が気ではない日々を送っていたのだが、やっと帰省する日がやってきた。
フィービーはホグワーツ特許に乗りこみ、ハッフルパフの同級生たちとコンパートメントを独占した。
休暇中魔法を使わないようにという注意書きかが生徒全員に配られたので、夏休みに入る前に魔法を使うことを許された最後の数時間を、みんなで十分楽しもうということになった。
フィービーは爆発スナップをしようと思ったのだが、真剣な面持ちのアーニーに頼みごとをされた。
「試験の答え合わせをしてほしい」
「ちょっとアーニー、夏休み直前なのにやめてよ」
爆発スナップのカードを魔法で配っていたマーサが、非難の声をあげた。
「フィービーはハーマイオニー・グレンジャーと並んで、学年1位の成績だったんだぞ。それに上位成績者は、100点以上とった科目がいくつもあるんだ。もっと勉強しないと追いつけない……」
「私なんて満点どころか、魔法薬学をパスするだけで精一杯だったわ……」
「スーザンは魔法史と薬草学で高得点をとったじゃない。フィービーが変身術の筆記のヤマを張ってくれなかったら、私はきっと落第していたわ……」
ビーズ編みを魔法で作っていたスーザンとハンナが落ちこんでしまった。
フィービーは試験問題と答えを書き出してふくろう便で送るとアーニーに言って、答えあわせの話題を切り上げた。