あらがうもの

□学期末パーティ
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「ディゴリー家の方々には世話になった恩がありますから、ダンブルドアに助けを求めに行かせてあげます。その間に、私は賢者の石を持ってホグワーツを脱出させてもらいますが」


フィービーはためらいながら、「あのさ」と言った。


「レギュラスが本物の死喰い人だったら、とっくに私の記憶を奪ってホグワーツから抜け出していると思うんだ。私はレギュラスに脅されていたことにしようと仕向けたんだね。気遣ってくれてありがとう」


するとレギュラスは一瞬で、黒猫に変身した。
フィービーに背を向けて丸くなった様子から察するに、自分の言動を後悔しているようだ。


「私がレギュラスは改心したって証言するから、一緒にダンブルドア校長のところへ行こう?」

「──フィービーは服従の呪文をかけられていると判断されるでしょうから、証言は無意味です。それにダンブルドアは、私が黒猫に変身するアニメーガスである確証はまだ得ていないはずです。とにかく、自分のことは自分でなんとかしますから、しばらく放っておいてください」


バジルはひとりにしてほしいように見えたので、フィービーはベッドからおりて荷造りを始めた。


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「また1年が過ぎた!」


食事前のあいさつを朗らかに述べたダンブルドア校長は、寮対抗杯の表彰を行った。

4位はグリフィンドール。
3位はハッフルパフ。
2位はレイブンクロー。

首位が発表されると同時に、スリザリンのテーブルから嵐のような歓声と、足を踏みならす音が聞こえた。
マルフォイはゴブレットでテーブルを叩く熱狂ぶりだ。

これからの展開を思うと、浮かれ騒ぐスリザリン生を満足げに見渡すスネイプ先生が気の毒でならない。


「よし、よし、スリザリン。よくやった。しかし、つい最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまいて。かけ込みの点数をいくつか与えよう」


ダンブルドア校長の言葉を受けて、スリザリン生の顔から笑みが消えた。


「最初はロナルド・ウィーズリー君。この何年か、ホグワーツで見ることのできなかったような、見事なチェス・ゲームを見せてくれたことを称え、グリフィンドールに50点与える」


グリフィンドールのテーブルから大歓声があがった。
その中でもパーシーの歓喜の叫び声は、ひときわ大きく聞こえた。


「僕の兄弟さ! 一番下の弟だよ。マクゴナガルの巨大チェスを破ったんだ」

「次に……ハーマイオニー・グレンジャー嬢に……火に囲まれながら、冷静な論理を用いて対処したことを称え、グリフィンドールに50点与える」


100点も増えて3位に浮上したから、グリフィンドール生は大喜びだ。
離れたテーブルで、ハーマイオニーが両腕に顔を埋めているのが見えた。
たぶん嬉し泣きをしているのだろう。


「三番目は、フィービー・ディゴリー嬢。悪魔の罠を日光呪文で退け、仲間を救ったことを称え、ハッフルパフに50点与える」

「フィービー、すごいわ!」


ハッフルパフの同級生たちは歓声をあげて、フィービーに次々と抱きついた。

太った修道士サミーやハッフルパフの先輩たちは、思わぬ得点に喜びの声をあげた。
教職員テーブルに着いていたスプラウト先生は、満足げに笑っている。
お祝い気分のグリフィンドールのテーブルからも、拍手や口笛が聞こえた。

もみくちゃになったフィービーが離れた席に座るセドリックをうかがうと、兄は喜びをかみころしたような微苦笑を向けてきた。


「50点増えたところで、ビリには変わりないじゃないか」


聞こえよがしに言ったスミスは、面白くなさそうな顔をしていたが。
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