あらがうもの

□学期末パーティ
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「僕は赤ん坊のときに両親を殺されて、ヴォルデモートから死の呪いを受けたんだよ?」

「それはもちろんわかっている。だからといって、11歳の君があいつと戦う必要はない」


整った眉をしかめたシリウスは、様々な感情を内側に押しこめているように見えた。

ハリーはシリウスが単純に怒っていると受け取ったらしく、抗議の声をあげた。


「シリウスは僕がヴォルデモートを追い払ったことを、認めてくれないの?」

「認めてないとは言ってない。早すぎると言っただけだ」

「ケンカはやめようよ。マダム・ポンフリーが来ちゃうし」


間に入ったロンはぎすぎすした雰囲気を変えるように、明日は学期末のパーティがあるとハリーに伝えた。


「寮の得点は全部計算が済んで、寮対抗杯はスリザリンが勝ったんだ。君が最後の試合に出られなかったから、レイブンクローにこてんぱんにやられてしまったよ。でもパーティはごちそうが出るし、元気になって起きてこなくちゃ」

「もう15分も経ちましたよ。さあ、出ていきなさい」


勢いよくやってきたマダム・ポンフリーは、きっぱりと言い渡した。

3人は見るからに沈んだハリーにしばしの別れを告げた。


医務室を出ると、シリウスの出待ちをする女子生徒にまじって、ダンブルドア校長が待ちかまえていた。


「ミス・ディゴリーと話がしたい」


白いひげの下でにこにこ笑っているが、立派な呼び出しだ。

びっくりしているハーマイオニーとロンに手を振ってから、フィービーは校長の後についていった。

空き教室に入ったダンブルドア校長は杖を振り、チンツ張りの椅子を出して、フィービーに座るよう勧めた。


「さて、まずは君にお礼を言いたい。ミス・ディゴリーが製作した護符のおかげで、クィリナス・クィレルは九死に一生を得た」


クィレルが負った外傷は、ダンブルドア校長が飼っている不死鳥の涙で癒やしたらしい。

だがクィレルは例のあの人に魂を捧げてしまった上に、一角獣の血の呪いも受けていたため、ハリーの母親の護りの魔法に触れたとき、己の魂に多大な損傷を負ったようだ。


「クィレルは護符の入ったキーホルダーを持ち歩いておったおかげで、一角獣の血の呪いをすべて受けずに済んだようじゃ。そして君がハリーに渡した護符は悪しきものを祓う代物ではなく、呪われた者を守る効果を発揮するものじゃったと推察する」


ダンブルドアは話しながら派手な紫のローブのポケットから、あちこち焼け焦げた護符と、黒ずんだ石のついたキーホルダーを取り出した。


「単刀直入に聞こう。ミス・ディゴリーはクィレルにヴォルデモートが取り憑いておったことを、かなり早い段階で知っていたのではないかね?」


普段は温厚そうなダンブルドア校長が威圧感を発していた。

フィービーは目をつぶって深呼吸してから答えた。


「……私が前もって手を打てた事情をお話ししますので、その前に質問に答えていただけますか?」

「なんなりと聞くがよい。答えられない理由があるときは許してほしい。もちろん、わしは嘘はつかん」

「クィレルは聖マンゴ病院を退院した後、どうなるのでしょう?」

「クィレルの意識がいつ戻るかわからぬが、退院できる状態に回復したとき彼が悔い改めていないようなら、アズカバンに送るしかあるまい」

「悔い改めていた場合は……?」

「それはクィレル自身が決めることじゃ。わしの口からはなんとも言えん」


これ以上食い下がっても、校長から本音は引き出せそうにない。
そう判断したフィービーは、質問に答えてくれたお礼を述べた。
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