お話

□ピクニック
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「明日ピクニック行こうか」

唐突に彰が行った。
夕飯も食べ終わり、テレビを観ながらまったりしていた時。テレビに映る天気予報は『晴れ』と伝えていた。

「行きたいっ!」

晴輝は身を乗り出して言う。

「天気いいみたいだしさ、お弁当作って公園にお昼食べようよ」
「うん!俺からあげ食べたいっ」
「はいはい」

彰も笑顔で返した。立ち上がりキッチンへ向かう。

「じゃあ、明日のお弁当の準備しなくちゃ」
「俺も手伝う!」
「ありがとう。じゃあハル、冷蔵庫から鶏肉だして」
「はぁい」


そうしてその夜、彰と晴輝は明日の弁当の下ごしらえに取り組んでいた。


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次の日。

「晴れた!すごく天気いいよ、お兄ちゃん!」

晴輝はにっこりと笑った。

「そうだね。じゃあ時間もちょうどいいし、出発しようか。ハル、忘れ物ない?」
「うんっ」

彰は玄関で靴紐を結び終え、立ち上がる。ガチャリとドアを開け上を見ると、目の前に広がっていたのは眩しいほどの光と青空だった。

「うわぁ、本当に天気いいね」

彰は手のひらで日差しを遮る。公園までの道のりを二人で歩きだした。

「…、ん?」
「…えへへ」

彰は自身の左手に感触を覚えたので見てみると、弟の晴輝が嬉しそうにギュッとそれを握っていた。
彰は優しく笑って見せる。

「外で手つなぐの久しぶりだね」
「周りに人いないから…」

ほんのり頬を染める晴輝を可愛いと思いつつ、彰は公園までの道のりを歩いた。


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程なくして二人は公園に到着し、芝生の上にピクニックシートを敷く。木陰が気持ちよい ベストポジションであった。公園内で遊んでいたり散歩をしたりしている人もまばらだった。
晴輝がごろんと仰向けに寝転がる。

「風が気持ち良くてお昼寝できそう〜」
「お腹いっぱいになったらねちゃいそうだね」

その時ちょうどお昼の音楽が町中に響いた。

「俺お腹すいちゃった」
「ね。食べようか」

彰はバッグから弁当を取りだし、包みを広げる。パカッとフタをとるとその中には色とりどりのおかずがきれいに詰められていた。
晴輝は思わず「おお〜っ」と目を輝かせる。

「すごい!美味しそうっ」
「ふふ、せっかくだから張り切っちゃった」
「ありがとうお兄ちゃんっ」
「ご飯はおむすびにしたからね」

弁当の下の段には白米と五穀米で握られたおむすびが詰められていた。


「ほら、ハル。あーん」

「おにいちゃ…っ人に見られちゃうよ」

おかずを載せたお箸が近づいてくるのに、春樹は少しだけ抵抗をしようとした。だが彰はそのまま橋を運んでくる。

「ほーら、そんなこと言うともうあーんしてあげないよ?」
「…、……ぁ、あーん…」

ゆっくり口の中におかずが入れられる。パクリとそれを食べた晴輝は口をもぐもぐ動かす。「美味しい?」と笑顔で聞く彰に、晴輝は顔を赤くしながらもコクンと頷いた。


大方用意した弁当も食べ終わり、彰がもう満腹だと言うので晴輝が残りを食べようとしていたとき。

「あ!あれ晴輝じゃね?」
「ホントだ晴輝じゃん!」

遠くの横の方から見知った声が聞こえてきた。

春樹が声をした方を向くと、そこにいたは春樹のクラスメート達だった。

「あ…」
「お友達?」

はるきはるき〜、と近くに歩いてくるクラスメート達。近くまで来て、面白そうに話しかけてくる。

「何、お前ピクニック中だった?」
「なんだお前ら仲いいんじゃん」
「学校では兄貴なんて興味ないっつーのになぁ」
「この前遊び行ったときだって金ないから兄ちゃんの土産買わねーって言ってたじゃん!」
「…もしかしてあん時レジで買ってたのって実は兄貴へのプレゼントなんじゃねーの?」
「っちがうよ!」
「……」

友達の話を横で聞いていた彰は思い出す。

(遊びに行ったときのお土産…?それってこの前もらったストラップのことか…?)

「お前にーちゃん大好きだろ〜」
「…別に好きじゃねーよ!」
「2人でピクニックきちゃう位だもんなぁ」

恥ずかしさを押し込めたような顔をした春輝が身を乗り出して言う。

「そんなことねーよ!今いるのは兄貴が来たいっつーから仕方なくついてきてやってんだってば!」

春輝が顔を赤くして反論する。

「俺もピクニックお邪魔してい?」

友達の一人が言うと、別のやつがすかさずツッコミを入れた。

「オイッ!はるちゃんとにーちゃんの大事な時間を邪魔しちゃだめだろっ」
「ハハハッ」
「たしかに‼︎じゃあまたな〜はるちゃん」
「はるちゃんじゃねーよっ‼︎」

そうしてクラスメートたちはゲラゲラ笑いながら他の場所へ行ってしまった。
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