お話
□悪魔くんの純情 4
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上司に怒られた仕事帰り。
家に着いた圭祐は、不機嫌なまま玄関のドアを開け部屋に入ったのだが…。
「ただいま」
「………ああ」
「!?」
…リビングには、エプロンを着けた美人な悪魔がいた。
「え!なんでガルまたいるんだ!?」
突然の顔合わせに驚く圭祐。一方ガルは眉間にしわを寄せていた。
「忘れるとは良い度胸だな、圭祐。お前が俺様にケーキを作れと言っただろう」
「あ…」
テーブルの上には、ホールケーキ。ガルは仕上げのホイップクリームを乗せているところであった。
(そういえば今日、俺誕生日だった…)
「……」
「昨日の今日で忘れるとは、なんなんだ貴様」
「…ごめんごめん。今日仕事があんまり上手くいかなくってさ。ちょっとむしゃくしゃしてたんだ」
「……」
「それにしても、今日も美味そうな飯作ってくれたんだ」
テーブルの上には、ケーキの他に皿に盛られたカレーライスが並べられている。
「カレーか!」
圭佑の口のなかに唾液が出る。
「大好きだ」
「…」
「…ん?どうした、ガルちょっと顔赤くないか?」
エプロン姿のガルは、「別になんでもない!」とそっぽを向いてしまった。少し考えた後、あぁ、と圭祐はガルの赤い顔の理由を思いついた。
ガルに近づく。
「ガル」
「…な、んだ」
「俺はカレーも好きだけど、綺麗なガルも好きだよ」
「おい…っ近づかなくていい!離れろこの人間ごときが!」
先ほど圭祐が「カレーを大好き」と言う意味で言った「大好き」を自分に言われたものだと勘違いして赤くなったのだろう。
(ほんと可愛いなぁ)
カレーもケーキも美味しく食べて(ケーキは半分食べた)、圭佑はガルとの楽しい夕食の時間を過ごした。
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「ガル……もう一つお願いがあるんだけど」
「貴様の願いはもう聞いた」
「そうなんだけどさ〜……、ちょっとこっち来て」
圭佑はガルの手を引いて寝室へ向かった。
ガルを目の前に立たせ、自分はベッドに腰かける。そしてズボンのベルトを外し、ファスナーを下ろしてガルを見上げた。
圭佑のその行動に、性的な方面に知識の乏しいガルは首をかしげる。
「…?…何をしている」
「ガル、俺の今日の誕生日祝ってくれてありがと」
「あ、あぁ」
「それで、あとね…」
ガルの手を取り、自分のソコに持っていく。
「…俺のコレ、口でシて欲しいな」
「!!??」
言った瞬間、ものすごい勢いで手を引っ込められた。
「何を言っている!ふざけるなっ!」
かあっと顔を赤くして声を荒げる悪魔。圭佑はやっぱりそうなるよねー…という顔をした。
「お願い」
「ダメだ!」
「おねがいっ」
「可愛く言っても駄目だ!」
「お願いします」
「駄目だ」
断固反対の姿勢を崩さないガル。圭佑はめげない。
「ガルが好きだからシて欲しいんだ」
「悪魔だとか人間だとか関係ないよ」
「貴様はただ俺が悪魔だからって珍しがってるだけだろう!どうせ他に悪魔が現れたらそっちの方に…」
「それは違うよ、ガル。俺はね、」
圭佑は目の前の悪魔を抱き寄せて言った。
「悪魔が好きなんじゃない、お前が好きなんだ」
「……っ」
いつになく真剣な顔で言う圭佑に、さすがのガルも少し心が揺れる。