お話

□雨宿りからの
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学校帰り。
いつも通り慶と瑞樹は、2人で帰り道を歩いていた。
じとーっとした曇り空。今にも雨が降りそうな予感させる曇り空であり、案の定、ゴロゴロと空がうなり声を上げ始める。

「雷鳴ってる…」

瑞樹が空を見上げでつぶやいた。隣で慶も空を見る。

「雨降りそうだな」


それから間もなく、パラパラと雨が降り出し、みるみるうちにスコールのような雨になっていく。

急に降ってきた夕立ち。
ものすごい勢いの雨に、傘を持っていない2人はとりあえず慌てて走りだした。
走るたびにバシャバシャと音を立てる雨水が2人のズボンの裾を汚す。
瑞樹が言った。

「慶、僕の家近いから雨宿りしていきなよ!」
「あ、あぁ。そうさせてもらう、悪いな!」

ザーザー降りの雨の中、二人は瑞樹の家へ急いだ。


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「ひゃー、濡れたー!」
「すげ、袖絞れそう…」

二人とも傘を持っていなかったので、家に着いたときには制服はびしょ濡れだった。

このままだと風邪をひくので、取り敢えず慶は瑞樹にジャージを貸してもらうことにした。
着ていたワイシャツをハンガーにかけて部屋の隅に干す。

「なんだか止みそうにないね」
「まだザーザー降りだな…」
「ねー…。でもまぁ、まったり過ごしていればそのうち止むでしょ」
「だな」

それから数時間、二人は授業で出された課題をやったり、ゲームをしたりして過ごした。

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「お、もうこんな時間か。俺そろそろ帰るな」
「あ、うん」

時間は18時。
窓の外を見ると、雨はもう止んでいるようだった。

「もう雨止んでるみたいだよ」
「そうか、よかった」

階段を降り、瑞樹は慶を玄関まで見送る。

「じゃあ、借りたジャージ、次会う時に返すから」
「うんわかったよ。またね!」
「じゃあな」


慶が去ったあと、瑞樹は手ぐしで髪を少し整える。

(課題仕上げちゃおうかな)

慶を見送ったあと、瑞樹は自分の部屋に戻ることにした。階段を上って部屋に入ると、瑞樹はあることに気づいた。

「あ。慶、制服忘れてる…」

触って乾いているかを確認すると、それはまだ少し湿っていた。

「次に会ったとき渡せばいいよね」

瑞樹はそう呟いて、残りの課題に専念することにした。


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夜。
寝る前の時間を自分の部屋で過ごす瑞樹。今日も夕食と入浴を終えたあと、自分の部屋でまったり過ごそうと思っていた。

ポテチと飲み物を持ち込み、小さなテレビをつける。いつものバラエティー番組を観ながらまったりする瑞樹。その時、

ヴーッヴーッ

バイブレーションにしてあるスマホが鳴った。見てみると、それは慶からのメールであった。

「なんだろ…」

『悪い。お前の家にワイシャツ干したままだったかも。』

返信を打つ。

『うん。僕の部屋に干してあるよ。洗って今度渡すよ!』

すぐにメールが返ってくる。

『いや、悪いからいいよ洗わなくて。そのまま渡してくれれば。』

洗って渡すことを慶にもう一度伝え、メールのやりとりを終えた。


そして寝る前。
またベッドの上でスマホをいじっていた瑞樹だったが、途中で部屋の隅に干してある慶のワイシャツになんとなく目がいった。

(そういえば、慶のワイシャツ干しっぱなしにしてたな…)

瑞樹はベッドから起き上がる。

「すみっこだと忘れちゃうから、見えるところに置いておこう」

手を伸ばしてそれに手をかけた瞬間、ふわっと慶のにおいが鼻をかすめる。

「…っ」

ドキンと瑞樹の胸が高鳴る。と同時に、瑞樹は思った。

(コレ、慶のにおい、する…)
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