たわごと

□君とお花畑で
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「で、今日はどうした?」

繊細過ぎるくらいに繊細な弟
ソンミンは人の事でも心を痛める

以前から細かい事気にする奴だとは思っていたけど、最近は度が過ぎる気がしてる

それでも溜め込まないで話してくれるだけましになったのかもしれないが。

「うん、でもまたどーでも良いことなんだよ?」

俺が気にしすぎだ。そんなこと何でもない。と言ったことをいつまでも覚えていて話し出す前に必ずこう前置きをする。

そう、めんどくさいといえばそれまでだ。

しかし、それがソンミンなんだ。

「ヒョン、聞いてる?もう止めようか、眠いんでしょ。」

やばい、ボッとしてた。

「いや、聞いてるぞ。それで?どうでもいいことなら悩まないだろう。話してみろ。」

でも、とかなんとか拗ねる一歩手前の表情を浮かべてるのを宥めすかして聞いた話

今日の仕事に出掛けた際、ヒチョルヒョンがカーラーみたいなものをブラブラ下げながら歩いていた

後方から歩いてきたソンミンはそれを見つけて駆け寄ろうとしたが、時すでに遅し

スタジオの前で待ち構えていたペンにサービスを始めてしまい、近寄ろうとしても近寄れずブラブラ状態でキメまくってるヒョンを遠くから見ているしか出来なかったと。

…うん、どーでもいい。
ヒチョルヒョンともなれば、それくらいの事気にも止めないだろうし。

それに。

「ドンへなんてさ、一番近くにいたくせに。」

あー、いたいた。ご機嫌だったのはそのせいか…

「ヒチョルヒョンのどうしてとってあげないの?って聞いたの。そうしたら。」

わかる、わかりすぎるくらいわかる。

「だって面白いじゃん!とか言うんだよ!信じられない…」

あーやっぱりなドンへだわ。
でも他の奴等もやりそう。

「そうか…」

んなことか!と突っ込みたいとこだがぐっと堪え重々しく口を閉ざす。
ソンミンの気持ちわかるよ。という眼差しも付け加えるのを忘れない。

「ペンには気づかれなかったのか?」

ふと、疑問を口にしたのがまずかった。
ドンへに対する憤りで首筋までホンノリ赤く染めていたのがジュッと音がするようにションボリしてしまった。

「どした?」

「僕がもっとしっかりしていれば。」

ガクンと項垂れるソンミン
途切れ途切れに聞いた話では

ブラブラサジンがアップされているのを発見してしまったらしい。

傍らにあったスマホで検索してみると、確かにいくつかの写真に紛れて例の写真も上がってる。

けれど、どれも好意的なものに思える。

「みんなヒチョルかわいー。って言ってるぞ?文の方は読まなかったのか?」

「読んだよ。ちょっとは安心したんだ。でもほら、これ見てよ。」

スクロールしてパッと出てきた写真

うん、美しいじゃんヒョン
綺麗に撮ってもらえて良かったね
なんて、微笑んでいたらソンミンはワナワナ震えてる

「このヒョンの顔見てよ。何も知らないでどや顔決めてるんだよ。なのに頭にはブラブラつけてるなんて!」

ん、お前軽く毒吐いてるぞ?
大丈夫か?

「僕だったら眠れない。眠れないよ…」

「そっか(んなことを真剣に)悩んでたんだな。」

よしよしと空いてる手で頭を撫でるとソンミンは小さな猫みたいに胸にすり寄ってくる

「でもな、ソンミン。ヒチョルヒョンはめげない人だ。(てか、変人だ。)だからどんなに人前でカッコ悪いとこみせようがヒチョルヒョンは立ち上がるさ。(人智を越えてるから一般のものさしなんて通用しないんだ。まず基準が違うんだろうさ。)」

「ヒョン…」

ソンミンの悩みは小さい事に見えるが、答えるときは壮大な雰囲気を醸し出すのがコツ。
これは最近覚えた。

すると、腕の中で小さくなっていたソンミンが顔をあげる

途端に甘くいい香りがたち昇る

「そうだね、ヒョン。ヒチョルヒョンはそんなこと気にしない。」

そうそう。

「僕ったらまた心配しすぎた…」

と言って落ち込みかけた顎をくっと上向きにする
キョロンとした目が俺をみつめてる

まるで、まるで…

「ヒョン、いつもありがとう。僕こんなでゴメンね。」

「ばか…こんなだから良いんだろ。ソンミナは。」

ツルっとした瞳をひたすらみつめた
そのどこかに答えをみつけようとして

だって、お前の瞳はまるで

「ヒョン、ありがとう。おやすみ。」

俺の顎にチュッと可愛いポポをして、何度か身動ぎすると寝息が聞こえてくる

俺の腕枕でスヤスヤ眠るソンミン

「なぁ、寝たか?」

「いつもいい匂いするけど何かつけてる?」

首筋に顔を寄せると花の香り

「お前はそのままでいろよ。ソンミナ。」

なぁ、ソンミナ
お前は俺のことを見るとき
まるで

恋をしているみたいだ

俺の思い過ごしか?

「おやすみ。」

ソンミンの髪にキスを落として目を閉じた。

その夜見た夢は最高だった

満開に咲き誇る花畑でソンミンとふたり
手を繋いで空を眺めていた

むせかえるくらいの花の香り

隣にいるソンミンにキスをして

それでこう言ったんだ

「ソンミン、俺はおまえに恋してる。」

なぁ、お前は?

お前は?
 

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