月に祈りを

□正義
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それは、陽花がまだ四歳の頃の話――

「ねえ、鬼ごっこしようよ」
「でも、三人じゃすくないよ」
「あ、陽花がひまそう」
子供の無邪気な会話が、陽花の耳に届く。
陽花は自分が誘われるのではないか、と少し期待したが、それはあっさりと破られる。
「いいよ、三人でやろう。
あいつ、変だもん」
陽花は涙を堪える。
ここで強引に入れて、と言う勇気も無かった。
悲しみを紛らわそうと、解けもしないパズルをカチャカチャといじった。
しかし、すぐに虚しくなりやめてしまう。
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