天使のキャラ変事情

□5話
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「はああぁぁ!?」
翌日の朝、目覚めた宮地は目の前で起こっている俄かには信じられないような現象に声を上げた。宮地には高校入学前、朝一番にしていたことが1つある。それは自分の隣で眠る愛する人、福井の寝顔を少しの時間眺めることだ。高校に入ってからは見ることが出来なくなってしまっていたがこの合宿では気心知れたメンバーが同室なこともあり、心置きなく見ることが出来ると思っていただけに大きな動揺を宮地に齎したのだった。目覚めた宮地の眼前には福井のバスケットボール選手らしい鍛えられた胸板が広がっていた。腰には腕が回り、抜け出そうと藻掻いてみるがびくともしない。宮地は藻掻いたことで自身の足と福井の足が変わらない位置にあることを悟った。いつもなら福井よりも背の高い宮地がすっぽりと福井の腕に収まることはないはずなのだ。だから、今のこの状況はある1つの事実を宮地に突き付けていた。
「ん。朝から大声出して何かあったん?キヨ。」
宮地の上げた声で目を覚ました今吉が身を起こしながら寝起きの掠れた声で声をかける。少し目元を擦ってから宮地の方を見る。
「は!!?キヨ、何で縮んでんの?」
驚きに細い目を見開いて呆然と漏らした今吉の言葉から宮地は自分がやはり縮んでいることを確信した。
「さあ?何か知らねぇけど起きたらこうなってた。ショウとユキは大丈夫か?」
「おん。ユキとワシは何もないで。」
それを聞くと宮地は安堵からかホッと一息ついた。最初は驚きに声を上げたものの精神的には落ち着いてきたようだ。宮地はもう一度自身の体躯を見てから小さく溜息をつき、福井の腕から抜け出そうと試みた。が、中々抜け出すことが出来ない。見兼ねた今吉が手伝い、やっとのことで抜け出すことが出来た。それから数分後ちらほらと宮地、今吉以外の者も起き出し始めた。氷室、実渕、笠松の順に起きて笠松以外は各々宮地の姿に驚きを見せたもののいつものように朝の準備を始めた。その数分後、6時には起床の放送が流れ、全員が目覚めたのだが…。−部屋の隅にある押し入れ付近で着替えたり荷物の整理をしていた面々に届いたのは聞き慣れない、否聞き覚えのある悲鳴だった。
「タイガ!!どした?大丈夫か?」
「カ、カズぅ。お、おれ、縮んじゃったみたい。」
「大丈夫。大丈夫。」
涙で目を潤ませて高尾を見つめる火神を抱き締め、背を優しく撫でた。火神の上げた悲鳴を聞いて駆け寄ってきた宮地たち、年長組は火神の姿を見て事情を粗方察したのか小さく溜息を吐いた。
「タイガもか。」
宮地の呟きに火神に目が向いていた福井や高尾が声の主に目を向けると瞠目し、幾度か瞬きをした後、各々が驚きに声を漏らした。一頻り驚いた後いつものように朝の身支度を整え、この現象について話し合いを始めた。結果、この現象の原因は笠松にあるようだった。曰く、かなり前から考えていたのだが素材が揃わず作れなかったとのこと。だが、今回運良く揃ったので作ってみたそうだ。昨夜の食後のお茶に混ぜ、所謂ロシアンルーレット式に試したということだった。聞いた直後は呆れたと溜息を皆が零していたが暫くすればやはり幼馴染。長い付き合いからか簡単に許してしまえた。効果は三日程のようなので心配することもなく元の和気藹々とした空気が戻ってきた。高尾と福井が言うには火神と宮地の肉体的な年齢は両者ともに中学1年生の頃の初めの頃と同じであるらしい。まあ、すぐにそう言い切った二人を前に言われた本人達以外は遠い目をしていた。
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