火神君が嫌われています

□2話
2ページ/4ページ

大我の話を聞いて俺はキセキと誠凛のやつらを許せない。大我を嵌めたその島田歌音とかいう女は特に。今は泣き疲れて眠っている大我の傷が痛々しい。

「あいつら、許さねぇ」

幸にぃからドスの利いた低い声が聞こえる。皆それは同じだ。間を空けることもなく頷いた。

「でも、あちらさんもアホやなぁ。よりによって大我に手を出すやなんて。」

翔にぃの言う通りだ。他のやつらは知らないが、大我は世界No1のトップ企業「DREAM」の後継者であり、俺たちは「DREAM」の柱となる部署の現幹部の息子たちであり次期幹部だ。大我が跡を継いだとき、俺達も現幹部の父親たちと代わって幹部になる。大我を敵に回すことは俺たちを敵に回すことと同じ。つまり、「DREAM」を敵に回すことと同じだ。その島田歌音という女の家である島田財閥は大我の一言があれば容易く滅びるのだが優しい大我はそれをしようと思わない。すぐに許してしまうのだ。大我が許しても俺たちは許さない。許せるはずがない。幼いころは塞ぎこみ気味だった俺たちを救ってくれたのは大我だ。その大我をここまで傷つけて、自分たちは間違っていないと信じて疑わず、今までの大我の全てを否定するかのように振舞う奴等。我慢なんてできようはずもない。優しい大我は心を痛めてしまうかもしれないけれど…。でも、俺は、俺たちは許せないからあいつらに大我と同じ、いや、それ以上の苦しみを与えてやる。覚悟するんだな。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ