天使のキャラ変事情

□1話
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【合同合宿当日】


洛山、陽泉、秀徳、桐皇、海常、誠凛の6校で行われる合同合宿当日の午前6時頃。誠凛の校門前には同じバスに乗る秀徳の元レギュラー陣と誠凛のバスケ部員全員が集まっていた。これだけならば普通なのであるがこの2校の面々はただ現状に戸惑うほかなかった。なぜなら、校門前に全員が集まりバスに乗りこんだとき、誠凛の火神が秀徳の宮地と高尾とともに一番後ろの座席で、それが当然だとでも言うように二人の間に座ったのである。宮地と高尾もそれを自然に受け入れ、さらに、宮地は火神にタオルケットをかけ、穏やかな顔で肩に乗った火神の頭をなでている。あのツンギレの宮地がだ。高尾もいつもは笑ってばかりでうるさいのだが、表情一つ変えず、静かに黙って火神の頭をなでている。こんな不自然な光景を見て2校の面々が戸惑わないはずがなかった。
それと同時刻。海常と桐皇の2校が乗り込んだバスの中でも多くの戸惑う部員の様子が見えた。こちらでは、笠松と今吉が二人で話していた。ほかの面々にはわけのわからない暗号のような聞き取れない言葉で話している。これだけでも相当不自然だが、今吉はいつもの考えが読めないポーカーフェイスがミスディレしていて笑いが絶えず、笠松はというとどこからか取り出したスケッチブックにひたすら何かを書いている。あまり関わりがないように見えるこの二人の様子に全部員が困惑していた。
遠方の為、ほかの学校とは乗っていない陽泉にも少なからず変化はあった。朝からなぜかそわそわしていて、時折わけのわからない言葉をつぶやく氷室を福井が父親のような温かいまなざしで見つめ、窘めているのである。いつもクールな氷室のそんな様子も他からしては不自然だが、それよりも不自然なのは福井であった。福井のそんな穏やかな顔を見たことがなかったレギュラー陣には氷室のそわそわ具合よりもこちらのほうが余程不自然に映るのだった。
同じ遠方の洛山ではあまり変化はあらず、穏やかな空気がバス内に流れていた。そんな平和な空気も合宿所に着いた途端に消えてしまうのだが。そんなことが予想できるはずもない。
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