土銀にょた小説
□出家します
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「おい、不法侵入だぞ。何してんだテメェは」
不意に襖が開いて、この部屋の主が俺の背後に忍び寄る。
と、押入れが開いているのに気付いた男は、そちらへ向かう。
「何しに来たんだ?泥棒か?」
それが会い口一番にテメェの女にかける言葉かよ・・・。
押入れの中身が変わっていないのを確認すると、襖を閉める。
「おい、お前これなんだよ」
俺は男に文机の上の封筒はなんだと問いかけると。
男はにべもなく答えた。
「ああ、さっき届いてたやつまとめて渡されたんだ。邪魔だからとりあえずそこに置いた、捨ててきてくれねえか?」
そんな雑用を俺に頼むかな?
なんつぅ気の効かねぇやつだ。
「邪魔なんだったら受け取り拒否すりゃいいだろうが。そのままゴミ箱入れちまえよ!」
いつになく俺の声に険があったんだと思う。
俺のそんな態度に、土方はため息をついた。
「はあ?たかだか恋文一つで何カリカリしてんだテメェ」
恋文ってわかってる時点でなおさらタチが悪い。
「うるせぇな。こっちとしてみりゃ気分悪りぃだろうが!しかもこんな目立つところに置いときやがって」
「なんだテメェ焼いてんのか?面倒くせぇ。そんなつまんねぇ女だったのかお前?」
煙を吐き出しながら土方はそう言い捨てると、ぴしゃんと襖を閉めて出て行ってしまった。
あんんのやろぉおおぉお!!
むしゃくしゃした俺は文机の上にあった封筒の束をゴミ箱に突っ込んだ後、先ほど押入れから落ちてきたタバコを一つ残らず封を切り、それらの開け口全てに水を含んでカートンに戻し入れて机の上に置いてきた。
ざまあみろ。