土銀にょた小説

□出家します
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仕事の依頼がなくて昼近くまでふとんでゴロゴロしていた俺はさすがに空腹を覚えて寝所を離れた。
「あー腹減った。」

冷蔵庫を開けるが何もない。

あるにはあるのだがそれに手をつけるにはまだ早い。

あー腹減った。外出っか・・・。

身支度を整えると俺はふらりと街に出て、あたりを見渡すが。

居ない。

こんな日に限ってあいつはいない。
巡回といつついつもはふらふら街ん中歩いてんのに。
んー団子食べたい。パフェ食べたい。
仕方ねえな。

そうひとりごちて慣れた足取りで目指す場所まで一直線。
真選組副長の部屋をノックもせずにガラリと開く、さも当たり前のように俺は中に入って、この部屋の主人を探した。

あれ。居ないじゃん。

仕方ねえな。
なんか食いもんないかな。
マジで腹減った。

襖を閉じると。仕事用の文机を見るが、そこには書きかけの書類の山があるのみ。
到底食えるもんじゃない。

エサエサ〜。

スタスタと勝手に人の部屋を物色し始める俺。

床の間にも食えるものは置いてない。
押入れを開けてガサガサすると、食えそうなものはない代わりに、土方の愛飲しているタバコのカートンがずり落ちて、俺の頭に角からぶつかって来た。

「いてててて。あいつ。いいかげんタバコやめろよな。」

あー食いもんねえじゃん!!
がっかりしながら振り返ると、あるものが俺の目に飛び込んできた。

先ほど仕事用の書類が山積みになっていると思った文机だが、その文机に乗っていた書類。

確かに仕事のものもあるのだが、その横に無造作に山積みされているそれら。

淡い暖色がかったものや、キラキラ細工のあるもの、なんとかして目につくようにと工夫のしてあるそれらの封筒。

中身を開けてみるまでもなくわかる。

恋文じゃねーか。

しかも何通あるんだ?ざっと見二十はあるだろう。
それらが無遠慮なまでにばさっと置いてあるのだから、なんだかふつふつと怒りがこみ上げてきた。

あいつ・・・こんなにこんなもん受け取りやがって。
しかも隠すでもなく堂々と置き放ってやがる。

時々こうやって俺がくることも知ってるくせに。
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