土銀にょた小説

□悪いことは重なることがある
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季節は秋。

読書の秋であり。
スポーツの秋であり。
食欲の秋である。

うちにとっては3番目が一番重要なのだが、実りの秋という言葉がこれでもかというほど似つかわしくないようで、
生命力溢れる食材たちはとうの昔に枯渇してしまっていた。

もう閑古鳥が鳴いているというか、閑散としているというか。
ゴキブリも食べ物がないと判断したのか最近じゃめっきり姿を見せなくなってしまった。

ゴッキーにすら見捨てられた万事屋・・・とほほ。

やばいんだ、ここの所。
営業はちゃんとしてるんだぜ?

ビラを配ってみたり、張り紙してみたり。
電話戦略してみたり。
なのに、今のとこ間に合ってんだ。ごめんな銀さん。

とか言われて全て空ぶっている。

うちの収入と支出はとんでもなく釣り合いが取れない。
というのも半分は自分のせい。
もう半分は成長期のバカ娘が『型破りな大食らい』という所がかなり足を引っ張っているのだが・・・。


子供は大人の事情など気にしない。
金がなくても、仕事がなくても。

「腹減った、なんか食わせろヨ」

を呪いの言葉のように吐き続ける。

そうして、食材は尽き、家賃は滞納、挙句には奉公に来ているメガネこと新八にはここ2ヶ月分給料を渡せていないと来た。

さすがにやばい。
そろそろ廃業か俺・・・。

氷河期もいい所だ。餓死しちまう。

そしてついに俺にトドメが刺さろうとしていた。
もうチェックメイトっつーか王手っつーか、玉がー玉がーっ!タマじゃねえよギョクだよギョク。

前にも後ろにも横にも進めずジャンプもできない、まさに詰みの状態で、このガキども二人に俺は挟まれて、判決を待つ囚人のような状態にまで追い詰められていた。
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