土銀にょた小説

□たまには休息も必要ですよ
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どのくらい眠りに落ちていたのだろうか。
ふと何かしらこそばゆさを感じゆっくりと目を開ける。
黒くてふさふさした。でも一つ一つがツンツンしているそれが俺の頬をくすぐっている。
もふもふもさもさ。俺の綿菓子みてえな髪と違う。
そして胸元に息遣いを感じた。
頭がようやく覚醒してきてはっとした。

そういえばさっき悪寒で震えてたこいつに湯たんぽよろしく抱きついてたんだっけ?
こいつ熱どうなったんだろうと。体をひねって気がついた。

あれ?

なんか胸元が全開になってる。
おまけにこいつ・・・。
俺確か後ろから湯たんぽになってたよな・・・。
なんでこっち向いてんだよ。
いつの間にかお互いがお互いの方を向き合う形で抱きついていて。
しかも。
全開になった胸元の俺の胸の谷間に顔突っ込んで寝てやがる・・・。

羞恥でカッとなって無理やり引きはがそうと思ったが、
「うっ・・・」
疲れすぎてなかなか寝付けないと言っていた男が心底安心しきった顔で眠っているのをみるとそれもできなくなった。

俺はお母さんですか。

はあっとため息をつくと。体温計で熱を測ってみる。
熱は39度を超えていた。

あーあ。そりゃ悪寒もするわな。
体温計を枕元に置いて。氷嚢を取り替え、額に冷たい手ぬぐいを置いてやると、俺も再び同じ布団の中に潜り込む。

氷嚢を変える時にさすがに胸元全開では歩けないので前を閉じて戻ってきたものの。
これはどうするべきなんだ?
また全開にしてこいつに乳差し出すのか?

んなアホな事できるかっ!

仕方がないので作務衣の襟元は閉じたまま胸元に顔だけ引き寄せて再び俺も目を閉じる。
しかし。
ようやくうとうとし始めた頃に、何やらふぁさふぁさと動きを感じる。
そしたまたこそばゆい。

寝かせろよ俺も疲れてんだよ。

そう思うものの先ほどよりもこそばゆい。
眠りを邪魔されて目を開ければ、再び閉じたはずの胸元が全開になっていて、なおかつ信じられないことに土方が吸い付いていた。
俺の乳首に・・・。

何してくれてんだこいつ!
どさくさに紛れて、誰がそこまでしていいって言ったんだよ!
こいつに情けを掛けた俺がアホだったか?
っつーかどんだけお子様なんだよこいつ!

しかし、焦る・・・。
このまま動きを止めるのを待ってやってまた眠らせるか。
それとも殴って覚醒させるか・・・。
逡巡しているうちに不意にもう片方の乳首をくいっと指でつままれて声が上がった。

「ひうっ!」

自分でも驚いた。
思わず上がった声。
それに感づいて胸元で男が囁いた。

「なんだもう起きたのか。」

確信犯かこいつ・・・。
この状態で起きないアホはいないだろ。
っていうかこいつ熱あんのにそっちはまた別なのか?
それとももう熱下がったのか?

「お前などさくさに紛れて何してんだよ。おい。いい加減に離れろ。」
「気がついたら目の前に乳があったから顔突っ込んだだけだ。」
「よくもまあ、いけしゃあしゃあと・・・。触る必要も吸い付く必要もねえだろ!」
「乳があった上に下着も何にもなかったから。乳首は吸うもんだろうが・・・」
胸の突起のすぐそばでボソボソとしゃべるせいで、動く唇が敏感なそこに当たってこそばゆい。
熱い吐息がかかるたびに体がビクつく。
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