土銀にょた小説

□たまには休息も必要ですよ
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先ほど置き去りにして行った食事はすっかり冷めてしまっている。
おかゆも水分を吸いきって膨張しているので、もう一度食べやすいように調理し直し、運んでいく。

部屋の前に着いたところで風呂から出てきた土方と鉢あった。

濡れた髪が張り付いていつもと違う土方がいる。

こいつ本当に腹がたつけどイケメンだよな。

髪が濡れて一層際立ってやがる、気に入らねえ。

そんな事を腹で思っていると。
土方がなにかしらこちらをじっとうかがってくる。

「なんだよ。じろじろと。お前髪かわかせよ。生乾きだと余計に風邪ひどくなるからな」

「お前は俺の母親か」

そう言って少し口角を上げた土方の後について部屋に入る。
持っていた盆を置き。食べるように促す。

疲れているようで箸を持っても食が進まない男にじれったくなって。
俺は土方の手から食器と箸を奪い取ると、豪快におかゆを取り皿に盛り込んで、ふうふうと息を吹きかけた。
ちょうど頃合いの良い温度になった頃に、梅干しと、鰹節を乗せて口元に運んでやる。

「俺はそこまでクソガキじゃ・・・」
「いいから食え。食が進んでねえ。食べないと治らねえ。昨日もろくに食ってねえだろ?言う事聞けよいい加減に」

そう言って無理に口元に箸を運んでやるとようやく観念したのか口を開く。
食べるのを見計らってまた箸を運ぶ。その繰り返し。

うん。鳥に餌やってるみたいだ。

なにも言わずもぐもぐと咀嚼する土方。
風呂に入って温かいものを食べて温まったせいか、それともまた熱が上がったのか首も顔も耳も赤い。

ひと通り食べさせて薬を飲ませると、自分もそそくさと食事を済ませて、寝る用意をする。

隣にもう一つ座敷がある。
そこを使わせてもらう事になっていて、布団を敷いてはいたものの、昨夜はなんだかんだで寝付けず、ずっとこっちで土方の様子を看ていたから俺も結構疲れていた。
今日は布団で横になって休めるかと思ったが・・・。

薬が効いたのか食事を終えた土方は横になると同時にまたすぐに眠りに落ちていった。
これだけ眠るという事はやはりかなり疲れているんだろう。
しかし不調の中、雨の降る冷えた夜にじっと張り込みをしたせいか体が冷えたようだ。体がカタカタと震えている。

あーあ。こりゃ本格的にくるぞ。
悪寒がきてやがる。
本格的に震え始めた体に自分の使うはずだった掛け布団を掛けてやるがそれでもまだ悪寒は収まらず、仕方なく俺は同じ布団の中に潜り込んだ。

「まったくお前、これ別料金もらうからな」

そう言って土方の後ろからそっと肌を合わせる。
首筋に自分の頬を背中には胸を、腰と腰を合わせ、足を絡めて暖をとらせる。
体は熱いのに汗は出ない。典型的な大フィーバー前の兆候。
お前がパチンコ台だったらよかったのには、これきっと爆発台だよ・・・。


そう言って目を閉じると、疲れていた俺もあっという間に眠りに落ちていった。
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