BLACK END

□No.04
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おやおや






そんなに知りたいのデスカ?






聞かない方が自分のためだと思いマスガ…






お教えしまショウ






アナタ達の生まれた意味ヲ














No.04 神様のゲーム














昔々、とても力が強い
ある神様と神様がいました



二人の神様は他の神様と比べ
ゲームが大好きで
この世を作ってから人類によって
生み出された遊びをしては
勝負をしていました




ですが、二人の神様は今まで行ってきたゲームに飽きてしまいました




そして新たに作ったゲーム…
それが"ブラックエンド"




二人の内の一人の神様は正義を貫く"善の騎士"
今で言う"対妖魔破壊術師"



もう一人の神様は邪悪を貫く"悪の騎士"
今で言う"神殺しの殺し屋"



それぞれ駒を作り、戦いをさせました



ところがもう一つ…二人の神様は
ゲームを面白くさせるために
キーアイテムを作りました

それが"ホーリーパージ"



これをランダムで人間に宿し
二人の神様がわからない状態で
互いに与えた条件を満たした方を勝利にしました


正義を貫く"善の騎士"の駒を持つ神様の勝利条件は、アイテムを探して破壊し、相手を全滅させること



邪悪を貫く"悪の騎士"の駒を持つ神様の勝利条件は、アイテムを探し出して一番強い駒との融合によって世界を滅ぼさせ、相手を全滅させること




二人の神様は今も
この世界の様子を見ては
ゲームを始めようとしているそうだ




















――



「…と言ったところでショウカ」



レイヴンは一息つき、テーブルの上のティーカップに手を伸ばした。
話せと言ったのは秋夜本人だったが驚きを隠せなかった。
対妖魔破壊術師の経験を十年以上はやっていて結構詳しいはずなのだが、初めて聞いた話だったのだ。



「じゃあ、俺達はその二人の神様のお遊びのために力を持たされ、戦わされてるって訳か…」


「その通りデスネ」



秋夜は自分達の置かれている立場を知り、自分の手を握り締めた。
自分はそのゲームのせいで一度死んでいる。
そして家族もそのゲームに巻き込まれている。
考えるだけで嫌になった。



「今までのことは序章で、これからイベント開催ってか…神様も随分なことしてくれるじゃねーかよ」


「困ったものデス…n」




ドオオォォン!!!!!




「なんだ!?」



突如大きな音が鳴り響いた。



「おや…この部屋は特別な防音を施していテ、爆発音ぐらいじゃ聞こえないはずなのデスガ…」


「(爆発音ぐらいってどういうことだよ!っていうか、この部屋スゲーな!?)」


「しょうがないのデ…行まショウカ?」






















――



コンビニを出た俺は本部に帰ることを決めた。
さっきの警察官はちゃんと本部にたどり着くことができたのだろうか。
帰ったら、本部にいなかった俺を兄貴は怒るのだろうか。
……やっぱりあの姿で怒られても怒られている気がしないよな。
兄貴はわざわざ俺より高い場所に立って説教をする。
随分とあの姿だから何ともないのだと思っていたが、兄貴も結構気にしているらしい。


そんなことを考えているうちに目的地に着いてしまったようだ。

本部は情報漏れを防ぐために、都内で場所や形を毎日変えている。
そのため対妖魔破壊術師達には日付が変わったと同時に本部の場所を指定される。
だからさっきの警察官もわからなくなるのも無理はない。


俺はビルの階段を上がり、4階にある扉のドアを開けた





………のだが





「な、な、なんだよ…これ…」



俺の目の前に広がるのはいつも優しくしてくれた門番のおっさんと真っ赤に染まる壁や床だった。
いつもと違う光景、そして…



『冬真っっ!危ねぇっっっ!!!!』


『にいちゃんっっっ!!!!!』



真っ赤に染まる兄貴の姿と重なり、乗り越えたはずのあの記憶が再びフラッシュバックする。



「う゛っっ…」



襲ってくる吐き気と涙。
また同じだ。
俺のせいで…



「いや…ダメだ…ちゃんとしろ俺!!!」



自分自身をまた見失いそうになった俺だが、自分の両頬をおもいきり叩いた。

兄貴が還ってきてから約束したことを思い出しながら本部内へと足を動かした。





辺りは悲惨な状態だった。
毎日綺麗だった廊下は、窓ガラスや内壁が散らばっている。
一定の区間ごとに置かれていた花瓶は割れていて、中の花の花弁が散らばり、茎は所々折れていた。



「何が起きてるんだよ…」



この状況を未だに理解出来ていない俺は廊下を歩き続けた。
すると、途中で倒れている人を見つけた。



「おい、大丈夫かよ!?」



呼びかけるがあまり喋れる状態ではないみたいだ。
だが、少しでも情報が欲しい。
俺は怪我をしている対妖魔破壊術師であろう男性の体勢を楽にして問いかけた。



「なぁ、何があったんだ?」



その男性は薄く目を開いて、消えそうな声で言葉を繋いだ。



「し…しんさつ…が…おそって…きた」


「しんさつ…ってあの神殺か!?」



さっきまでレイヴンさんが話してたのじゃねーかよ!!
こんなにもすぐに現れるものなのかと思いながらも男性にまた問いかけた。



「どっちに行ったかわかるか?」



男性はボロボロになった腕を上げある方向を指差した。
その場所は…



「第二訓練場…」



4つある訓練場の中の1つだ。
神殺は今そこにいる。



「わかった…ありがとう」



男性の腕は力がなくなって床に落ち、気を失った。
俺は第二訓練場の方に目を向け、拳を握り締めた。
恐怖はある。
妖魔とは違って、俺にどうにかできる相手じゃないかもしれない。
だけど……



「ここで逃げたら俺はまたダメになる!!」



意を決して第二訓練場へと走り出した。













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