BLACK END
□No.02
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俺達の未来は真っ黒に染まってしまうのだろうか…?
俺達は世界を守ることができないのだろうか…?
俺達では…未来を変えることさえもできないのだろうか…?
No.2 俺達の未来
「では、これからお話しするワタシ達の未来は全て、マナリアが予言した真実デス」
集められた数名の対妖魔破壊術師達に緊張が走った。
国家対妖魔破壊術師であるマナリアは、能力式"予知"の持ち主で、昨日予言をしたというのだ。
深刻そうに…だが、少し面白そうに話すレイヴンの次の言葉は、誰も予想できるようなものではなかった。
「この世界が真っ黒に染まるトキ、悲しみと絶望、そして沢山の妖魔によってワタシ達は終焉を迎えるでショウ…ある生命とある生命が1つになるとき、暗黒世界の頂点に立つ者が現レル…と」
「1つ聞く。"ある生命"とは、何のことだ?」
俺の頭の上に乗っている兄貴からの質問。いつもとは違う真剣な声が部屋に響いた。
「神々を殺すために生まれたある生命"神殺"。そしてもう一つのある生命とは"ホーリーパージ"という存在デス」
「神殺って…確か数百年前に消えたはずじゃなかったのか?」
兄貴のいうとおり、神を殺すために現れた神殺は数百年前に消えてしまっている。なぜ今頃になって現れたのだろうか。
「ソレについては後程…神殺はワタシ達を殺しに来るでショウ。十分に警戒をしてくだサイ。以上デス」
「は…?それだけなのか?」
話を終えて部屋から出ようとするレイヴンに俺は言った。正直言って、話には全くついていけてないのだがこれにはまだ裏があるような気がした。
俺の言葉を聞いたレイヴンは何かを思い出したような顔をして振り返った。
「あぁ、一つ言い忘れていまシタ。……髪は長く、右頬に傷がありマス…気を付けてくだサイネ」
それだけを言うとレイヴンは部屋を出ていってしまった。一体なんのことだったのだろうか。
「全く…あいつは…」
「なぁ、兄貴。今のどういう意味なんだ?」
「神殺の一人の特徴だ。しっかり頭に叩き込んどけよ」
兄貴は俺の頭から降りるとどこかへ行ってしまった。
急に告げられた俺達の未来
妖魔だけでなく神殺という敵も現れ、世界の終りは着々と進んでいた
ブラックエンドの原因の一つでもあるホーリーパージの行方は未だ謎に包まれている
これからどんな絶望が起こるかなんて俺は予想出来なかったんだ
――
コンビニに行くため本部を出た。
難しい話には全くついていけないし、兄貴は何処かに行ってしまった。
神殺がどれだけ恐ろしいものなのかもわからない、ホーリーパージがどんなものなのかもわからない。一体何を考えろというのだろうか。俺には理解できなかった。
少し歩いていると前から不思議な気配を感じた。
気配は段々近付いてきていた。
そして俺の目の前にそいつはいた。
「すみません、道を伺いたいのですが…」
「あ、ああ 何処ですか? …っ!」
『髪が長く、右頬に傷がありマス…』
『神殺の一人の特徴だ』
髪が長く、右頬は髪で隠れている…もしかしてさっき言っていた神殺の一人か?!
少し警戒体制をとった俺だが、吹いた風によって髪で隠されていた頬がはっきり見えた。そこには……傷一つ見当たらなかった。
「実は警察の者でして、妖魔破壊術師本部に用があるのですが…方向音痴なもので場所がわからないんですよ」
警察手帳を見せながら苦笑いをした。
「そう、ですか…この道を真っ直ぐ行った所に少し大きなビルがあって、そこの4階のところの扉を開ければ本部です」
「ありがとうございます、ではまたお会いできるときには仲良くしましょうね」
それだけを言うと行ってしまった。
ちゃんと警察手帳もあったし、少し警戒し過ぎたかもしれない。
だが、あの不思議な気配はなんだったのだろうか。気になりつつも俺はコンビニにへと足を進めた。
――
「で…秋夜サンのご用件は何でしょうカ?」
緊急招集の後、秋夜はレイヴンのもとを訪れていた。
「まだ話してないことがあるんじゃないのか?」
「はて…なんのことでショウ?」
「惚けてんじゃねーよ」
低くそして強く秋夜は言った。レイヴンは確実に何かを隠しているのだが、簡単には話してくれないようだ。
「そういえば秋夜サン。弟サン達はお元気ですカ?」
「話反らすなよ…っていうか嫌みかっ」
「その様子だとまだ連絡がとれてないんですネ?」
秋夜を見ながらレイヴンは笑っていた。そんなレイヴンに秋夜は少々呆れていた。
「そーだ。 夏輝からは連絡をしても返ってこない、されもしないし、春斗は家にも帰ってこない」
「ぼっちですカ…」
「ぼっちじゃねーよ!」
「まぁ 夏輝サンはお仕事頑張ってるみたいデス …春斗クンは知りませんガ、勿体ない人材デスネ」
「人材ってなぁ…」
「おや…お忘れデスカ?この仕事をするからには人類を守る"人間兵器"と言われても仕方がないんですヨ」
「…人間兵器か」
少し声のボリュームも下がり、秋夜の顔は哀しみがあった。
「ソレを承知の上で秋夜サンは戦っていたのでショウ?」
「そうだが…自分では気にしてはいなかったが、家族が言われるとどうもな…」
「やはり、家族思いなんデスネ」
「は?たまたまそう思っただけだろ」
「…ツンデレデスカ」
「ツンデレじゃねーし!ってか、お前が言うと片言になってんぞ」
「素直じゃないデスネ…」
小さく呟いたレイヴンの言葉は秋夜に聞こえたのか…いや、聞かなかったことにしたのだろう。彼は頬を掻きながら窓の外を眺めていた。
――
「みーつけた♪」
そびえ立つビルを目の前に男は、なんだか嬉しそうに呟いた。
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