裏拍手御礼用小話格納庫

□†存在
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†存在





「ぁっ・・・!」

そっと触れてくる冷たい指先。

ほとんど体温の感じられないそれに、私は思わず夜気に晒していた素肌を粟立たせた。

その途端、

「す、すまない・・・!」

敦盛さんが押し殺した声で謝りながら、伸ばしていた手を素早く引っ込める。

「あ、あの・・・私こそ・・・すみませ・・・!」

慌てて両手を横にブンブンと振って謝り返すけれど、再び事に及ぶタイミングを逃してしまった私たちは、互いに視線を逸らせたまま顔を真っ赤にして俯いてしまった。

そのまま降ってきた沈黙に、気まずく黙りこくる二人。

着々と時だけが刻まれる中、このままでは埒があかないと、私は思い切って敦盛さんの手を取り自分の胸へと導いた。

顔の火照りが治まらないのを俯いて隠し、力を抜けばすり抜けてしまいそうな、冷たくて優しい手の平をぎゅっと肌に押し付ける。

「み、巫女・・・?!」

自分からこんな風に誘うのはとても恥ずかしかったけれど、何故か人との接触を極端に恐れる敦盛さんには多少強引さも必要で。

私は自分に出来る限りの勇気を振り絞って、戦慄く唇から言葉を搾り出した。

「して、下さい・・・敦盛さん。」

震えているのは私の手なのか、敦盛さんの手なのか・・・もしかしたらその両方なのかもしれない。

それすらも分からない程、強く強く敦盛さんの手に自分の手の平を重ね合わせる。

やがて、敦盛さんの冷たい手に私の体温が移って仄かに温かみを帯びた頃。

「・・・あぁ、分かった。」

敦盛さんはポツリと一言呟き、明確な意思をもって手をゆっくりと動かし始めた。

「んっ・・・ぁ・・・ぅ、んっ・・・。」

私は繊細な指先から与えられる快感に身を任せ、堪え切れない甘い声を上げて仰け反る。

すると、熱心な眼差しで私を見つめていた敦盛さんと不意に目が合った。

一番星を見つける直前の空に似た、深い、深い、紫の瞳。

普段は伏し目がちに表情を押し隠している敦盛さんだけど、今はその瞳に珍しく分かりやすい色が揺らめいている。

どこか・・・楽しそうな、嬉しそうな。

不思議に思い、小首を傾げて見上げていると、それに気づいた敦盛さんが少しはにかんだ笑顔で口を開いた。

「・・・巫女はまるで笛のようだな。」

言われた意味を理解しかねて、私は更に首を傾げる。

そんな私に敦盛さんはその指先を伸ばし、私の太腿の間にスルリと忍び込ませて、優しく突起を撫で上げた。

「ふっ・・・ぁっ・・・!」

触れるか触れないかの微かな刺激が、私の体に予想以上の快感をもたらす。

思わずピクンッと跳ね上がる腰。

それでも敦盛さんの指先は私の中心から外れる事なく、造形を確かめるようにやんわりと円を描きながら、感歎の吐息を漏らした。

「こうして奏でると、天上の楽とも紛うような雅なる声で鳴く。・・・とても美しい音色だ。」

敦盛さんはそう言うと、目を細めて私の恥ずかしい突起を繰り返し爪弾く。

くちゅ・・・ちゅぐ、にちゅ、にちゅ・・・

「ぁっ・・・ひっぁっぁっぁっ・・・!!」

軽く押し潰すように捏ね回したり、きゅっと摘み上げられたり。

敦盛さんの指が動くたび、濡れた音と共に私の嬌声が部屋に響き渡った。

『奏でる』

そう言われた通り、私は敦盛さんの思うがまま、笛に似た切ない声で甘い旋律を辿る。

やがて。

私が意識を朦朧とさせながら荒い呼吸を吐いていると、どこか遠くの方から敦盛さんの囁きが聞こえてきた。

「巫女・・・。あなたの音をもっと聞かせて欲しい。」

太腿の間を奏でていた指先が離れたかと思った瞬間、今度はそこに熱い息がかかり、何か濡れた感触が私のすっかり敏感になってしまった突起を吸い上げてくる。

ちゅっぷ・・・

「ひ、ゃんっ?!」

あくまで繊細に、けれど確実に感じる部分を舌先で擽られ、大きく震える淫らに開いた私の両足。

くちゅ、ちゅぷっ、ちゅく・・・

「はっぁ・・・ぁっぁっぁ・・・!」

そして、再び敦盛さんの演奏が始まった。

やけに赤い舌が調律するかのように閃き、私の体が激しく反応する所を見つけると、そこばかりを狙って舐め上げる。

すぐに私の中からはヌルヌルとした液体が溢れ出してきて、敦盛さんの舌の動きに合わせて更に派手な水音を立て始めた。

唇はやがて突起から下へと下り、私のいやらしい穴の中へと柔らかな舌が突き入れられる。

ぬちゅ・・・ぬぷ、ぬち・・・

「んっ!ぁっ・・・ふぁ・・・!」

そこから全身を駆け巡り、感覚の全てを支配する強烈な快感。

私は限界まで仰け反りながら、爪先を突っ張らせてひくひくと痙攣した。

切れそうなほど唇を噛み締めて堪えている私に、敦盛さんは少しだけ顔を上げて心配そうに尋ねてくる。

「巫女、大丈夫だろうか・・・?やはり、私のような穢れた者を受け入れて、あなたの体に何かあっては・・・。」

舌を入れられただけで達してしまいそうになっただけ、なんて恥ずかしくてとても正直には言えない。

一瞬言葉に詰まる私を尻目に、敦盛さんは微かに悲しげな表情を浮かべ、静かに体を離そうとした。

「あ、あの!大丈夫です、から・・・や、止めないで下さい・・・!」

敦盛さんの言う『穢れた者』の意味は分からなかったけれど、何やら良ろしくない勘違いをしているのは確かで。

私は離れてゆく敦盛さんの体を引き止めようと、慌てて手を伸ばす。

すると、思わずと言った様子で敦盛さんの肩が唐突にビクリと跳ねた。

何だか拒絶されたような気がして、私は所在のなくなってしまった手をそろそろと引っ込める。

それでも誤解だけはちゃんと解かなくてはと、視線を落ち着かなく彷徨わせながらも必死で言葉を紡いだ。

「ぁ、ごめんなさ・・・。で、でも、私は敦盛さんに触られるのが嫌なんじゃなくて・・・。そ、その・・・気持ち、良かったから・・・。」

しばらくの沈黙の後。

だんだん私が居たたまれなくなってきていると、敦盛さんが引っ込めていた私の手首をそっと掴み寄せた。

そしてそのまま、自分の首に私の両方の手を絡めるように回させ、上半身を倒してゆっくりと圧し掛かってきた。

「本来ならばこの世界に存在してはならぬ、この身。だが、巫女に出会って私は救われたのだ。あなたが私を必要だと言ってくれたから・・・。」

敦盛さんは独り言のようにポツリポツリと語りながら、すっかり大きくて硬くなっているモノを私の割れ目へと押し当てる。

「私がこうして今ここにいるのは・・・あなたの為だ。」

にちゅ、にちゅ、と数回擦り上げて自分のものをしっかりと濡らし、敦盛さんは恐ろしいほど慎重に私の中へと入ってきた。

ぐ、ぷ・・・ぬちゅ・・・じゅぷ、ぷぷ・・・ぐちゅんっ

「ぁっ・・・ひぅ、んっ・・・ぁっぁっひぁぁぁ・・・!!」

時間をかけて私の内壁を開きつつ、太くて長いモノが最奥の子宮の入り口を突き上げる。

先ほど舌で限界まで追い上げられていた私は、たったの一突きで絶頂へと達し、腰を跳ねさせながらぴゅくぴゅくと愛液を噴出した。

敦盛さんをきつく締め付けてガクガクと痙攣していると、敦盛さんは私の両足を腕に引っ掛けて更に押し開き、ピッタリと胸を合わてくる。

「巫女の中は温かいな・・・。」

しばらくの間、蠢く私の中をじっくりと感じ取るように、敦盛さんは腰を奥に入れたまま動かずにいた。

けれどやがて、その腰は繊細ながらも淫らに私の中を擦り上げ始める。

ぱちゅん、ぱちゅん、ぐぷっぐぷっ・・・

「ぁ、ぅ・・・ゃ、ぁっぁーぁーぁっふ、ぅんんっ!」

その動きは緩やかで優しいものの、私の一番感じる所を的確に狙って飽く事なく繰り返されるそれに、激しくされる時以上の快感が襲ってくる。

「っ巫女、巫女・・・!」

私の耳元に頬を擦りつけ、軽く乱れた呼吸の下から私を呼び続ける敦盛さん。

その声音の切なさに、何故か胸がぎゅっと締め付けられる。

私は敦盛さんの首に回した両手に力を込めて、力一杯抱きしめた。

その途端。

緩やかだった腰の動きが一転して、狂おしいほど性急なものへと変化した。

ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ、ぐじゅ、じゅぷ・・・!

「ひっぁ・・・ぁっ、はっん、ぁぁぁっ・・・ふぁぁぁ!!」

私の気持ち良い所を腰を波打たせるようにして小刻みに擦り上げ、浅い部分から最奥までを大きな動きで抜き差しし、子宮の入り口に硬い先端を捻じ込んで円を描くように掻き回す。

敦盛さんが腰を振る毎に頭の中が真っ白になり、私は飲み込み切れなくなった涎を垂らしながら、限界まで左右に開いた太腿をぶるぶると震わせていた。

私が何度目かも分からない絶頂に達しても、敦盛さんは休む事なく腰を振り続ける。

そして、そろそろ限界を感じ始めたその時、布団に後頭部を擦りつけて身悶えている私の耳に敦盛さんの少し掠れた声が届いた。

「やっと、見つけたのだ・・・私の存在理由を。」

敦盛さんはそれだけ言うと少しだけ上半身を起こし、抱えていた私の太腿を胸につく位に押し上げて、腰を前後に激しく振り始めた。

ちゅぐっ、ぐぷっ、じゅぽ、じゅぽ、じゅぽっ・・・!

「んぁっ!!ぁ、ゃぁ・・・も、だめ・・・また、いっちゃ・・・!!」

太腿を押し上げられた事で、私からも二人が繋がっている部分が見えるようになる。

ヒクヒクと痙攣する私の穴に、敦盛さんの太いモノが出たり入ったりしているその光景。

無意識に敦盛さんのモノを締め上げると、愛液で濡れ光るソレが一気に根元まで押し込まれ、子宮の入り口を突き上げた。

ぐりゅっ・・・!!

「ぁっぁ・・・ひっゃぁぁぁんっ!!」

突っ張らせた足の爪先をきゅっと丸め、私は壊れそうなほど背中を仰け反らせる。

それと同時に、愛液を迸らせる私の中に敦盛さんの熱い液体が注ぎ込まれた。





やっと敦盛さんの全てを受け入れ終わり、何とか喋る余裕を取り戻した私はモソモソと口を開いた。

「わ、私は・・・敦盛さんにそんな風に思ってもらえるような人間じゃ、ありません・・・。世界を守るためとか、そんな事考えられなくて・・・ただ、守りたいと思った人がたまたま八葉だっただけなんです・・・。」

私のために存在しているという言葉は嬉しかったけれど、それは買い被りすぎだと思う。

けれど後ろを向いて着物を整えていた敦盛さんは、それを聞くなり静かにこちらを振り向いてふわりと笑った。

「だから・・・なのだろうな。私もあなたが巫女でなかったとしても、守りたいと思う気持ちはきっと変わらない。」

そっと敦盛さんの冷たい指先が伸びてきて、私の指先にほんの数センチほど重ねられる。

繋ぐと言うにはささやか過ぎる、指先の触れ合い。

私はそこに確かな絆を感じながら、ゆっくりと目を閉じた。





例え、間違いから始まった運命だとしても。

私があなたの存在理由になるのなら、あなたもまた私の存在する理由。

あなたの為に・・・私は今ここにいる。

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