裏拍手御礼用小話格納庫

□†ユダ
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†ユダ





「あ、あの・・・景時さん・・・?」

「ん〜、何かな?」

私の戸惑ったような問いかけに、景時さんは間延びした声で・・・けれど、どこか思いつめた様子で答える。

何かな、と申されましても・・・。

私は返す言葉に詰まって、唇を開いたり閉じたりした後、結局はぎゅっと噤んでしまった。

だってまさか、私の方から『まだ入れないんですか?』なんて言えるはずがない。

大きくて硬いものの先端を押し付けたまま、ぴたりと動きを止めてしまった景時さんに、私はもじもじと腰を捩りながら情けなく彼の顔を見上げた。

いつもはツンツンと立ち上がっている髪の毛も、今はナチュラルに額に下ろされていて、いつもより数段若く感じる。

景時さんは、前髪の隙間から覗く垂れ目がちの瞳をふっと細めて、止まっていた腰をそっと退いた。

「ごめん、ごめん。・・・もうちょっと濡らした方が良いかなって。」

眉尻を下げて苦笑しながらの、とってつけたような言い訳。

つい先ほどまで散々鳴かされ続けて、私の体は恥ずかしいくらい潤っているのに・・・いきなりどうしたんだろう?

小首を傾げている私を他所に、景時さんは限界まで開かせた私の両足の間に顔を埋めた。

右足は褥に押し付けられ、左足は景時さんの肩に抱え上げられた格好で、愛液の溢れ出すそこに景時さんの濡れた舌が閃く。

ちゅぱ・・・ちゅぷっ・・・ちゅく・・・

「ぁ・・・んっ・・・景時さ・・・私は、大丈夫ですから・・・ぁっ・・・ぅぅんっ!」

景時さんは身じろぐ私の太腿を押さえつけて、逆らう事を許さない両手で割れ目を剥き出しにすると、快感に小さく震えている突起を口に含んで吸い上げてきた。

ぴちゃ・・・ちゅぐ、ちゅぷ・・・じゅぷ・・・

「ぁっぁっぁっ・・・ひぁ・・・ゃ、ぁ・・・ほんと、に・・・も・・・ぁっぁぁっ!!」

チロチロと優しく優しく下から上に向かって舐め上げては、カプッと軽く歯を立てて甘噛みをされて。

無意識に背中を仰け反らせた私は、自然と浮き上がった腰をゆらゆらと揺らしてしまう。

「だめだよ。万が一でも君に痛い思いをさせたくないからね。」

いやらしい音を立てるそこに、私は恥じ入ってイヤイヤと首を振るけれど、景時さんは更に強く太腿を押し上げて顔を沈めてくる。

深く深く首を垂れて・・・なんだか、それは懺悔をしているようにも見えた。

時々、景時さんはこんな風になる。

ひどく申し訳なさそうに、許しを請うように私の体に触れて。

そのくせ、まるで自分を裁けと言わんばかりに強引な愛撫を施す。

舌と指だけで何度も私をイかせて、最後の最後まで私の中に入ってこようとはしない。

最初の頃は、景時さんが巫女として私を抱く事に罪悪感を抱いているのかとも思った。

けれど、つい最近になって気づいた事がある。

それは・・・景時さんが私の中で果てる間際の、悲しい悲しい独り言。

「ぁっぁ・・・か、げときさ・・・んっ・・・何か、あったんですか・・・?」

私の両足の間に顔を伏せて、傷を負った獣が水を飲むかのように、私の愛液を啜っている景時さんの頭をそっと撫でる。

景時さんは一瞬ピクリと肩を震わせて、伏せていた顔をゆっくりと上げた。

「何も・・・何もないよ。ただ、たまに思ってしまうんだ。オレみたいな奴が君の八葉をやっててもいいのかって・・・。」

私の視線とかち合った翡翠の瞳は悲しみと切なさに彩られ、愛液で濡れた光を放つ唇は微かに震えている。

「わ、私の八葉でいるのは・・・やっぱり、嫌ですか・・・?」

本物の白龍の神子だったなら、彼の苦しみを理解して救う事が出来たのだろうか?

こんな時に、いつも自分の無力さを思い知らされる。

込み上げて来る涙を絶対に見せないように、視線をはずして左手の甲で目を覆い隠す私に、景時さんは体をずり上げて圧し掛かってきた。

「っちがう!そうじゃない・・・!!」

翳した私の左手を景時さんが静かに掴み取り、そっと顔の上から退かす。

「そうじゃ、ないんだよ・・・。悪いのはオレなんだ・・・。」

ポツリと零れ落ちる言葉と、同時に私の額に降ってくる温かな唇。

「・・・オレが裏切ってしまう前に、君の為に死ねたらいいのに。」

私に触れてくる優しい仕草とは裏腹に、景時さんはそんな恐ろしい事を呟いて、熱く猛ったものを一気に私の中に突き入れてきた。

ぐぷぷぷぷぷぷっ

「んっはっ・・・ぁっぁっぁぁぁんっ!!」

言われた言葉の内容を問い返す前に、一番深い所を刺し貫かれて、私は腰を浮かせてビクビクとのたうった。

ずっしりとした質量のものが、脈打ちながら私の中を限界まで押し開き、子宮の入り口にぶつかってくる快感。

直前まで嫌と言うほど焦らされていた私は、入れられただけで絶頂に達してしまう。

「ふっぅ・・・はっ、ぁ・・・ぁぁ、ぁっ・・・。」

溢れ出す愛液を絡めるように、ぬる・・・ぬる・・・と何度か内壁を擦り上げ、軽く慣らした後。

景時さんは抜け落ちるギリギリの所まで腰を退き、私の左足を肩の上に抱え直すと、再び最奥まで腰を進めてきた。

ぐりゅんっ

「ひゃっぁぁぁ・・・!!」

横に寝そべるような体制で左足を胸につくほど押し上げられ、そのまま景時さんの上体に潰されそうな勢いで抱きしめられる。

ぱちゅん、ぱちゅん・・・ちゅぐっ、じゅく・・・ぬぷっ、ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅっ

「ぁっぁっぁ・・・ゃ・・・はげ、し・・・ふぁっぁぁんっ!!」

最初の数回はゆっくりと抜き差しし、私が感じているのを見て取ると、その動きは徐々に激しいものへと変わっていった。

張り出した部分で確実に私の感じる所を擦り上げながら、ずんっずんっと一番深い所まで余すことなく埋め尽くされる。

私は咄嗟に上に逃げようとするけれど、左足ごと上半身をガッチリと抱きしめられて、微塵も動くことができない。

褥の上に投げ出された右足だけが、ピクンピクンと跳ねて激しい快感に打ち震えていた。

一度絶頂に達してからは、ずっとそれが治まる事はなく、抜き差しされる度に愛液が溢れ出してくる。

下ろした視線の先には、糸を引いてぬらぬらと光りながら、私の中を出入りしている景時さんの気持ち良いものと。

その景時さんのものに掻き回されて、私の愛液がぶくぶくと白く泡立ち、景時さんの太腿や下腹に飛び散っているのが見えた。

ぬちっ、ぐちゅっ・・・ちゅぐ、じゅぷ、じゅぷっ

「はっ・・・はぅ・・・んぁっぁ・・・ぁ、ぁぁぅ・・・!!」

仰け反ってガクガクと全身を痙攣させている間も、休む事なく弱い所を小刻みに擦り上げられ、最奥を腰を回すようにして捏ね回される。

景時さんは気が狂いそうなほど長い時間、何かから逃れようとするかのように淫らに腰を動かしていた。

やがて、私の意識も体もそろそろ限界を迎えそうになった頃。

景時さんは子宮の入り口を抉じ開けるように先端を捻じ込むと、やっと私の中に二人を繋ぐ五行の力を注ぎ込んでくれた。

奥に叩きつけられる飛沫をビクビクと震えながら受け止めて、私は景時さんのいつもの独り言を遠い意識の中で拾う。



「裏切り者のオレを赦さないで・・・。」



景時さんは、よく嘘を吐く。

でもそれは、いつだって誰かを守ろうとするための優しい嘘。

だからこれは本当なんだと思う。

景時さんはいつか私を裏切るに違いない。

裏切りの痛みに耐えながら、景時さんは大きな体を震わせて私を抱きしめてくる。

私はその手を取り、胸の前でぎゅっと握り締めた。





あなたの裏切りが運命だと言うのなら。

私がその運命を裏切ってみせる。

そして、

いつか私はこの世界のユダになろう。

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